【速報】東京15区の結果をNHK出口調査から詳細分析する

八幡 和郎

注目の衆議院議員補欠選挙東京15区は、酒井菜摘氏(立民・新)49,476票で当選。須藤元気氏(無所属・新)29,669票。金澤結衣氏(維新・新)28,461票。飯山陽氏(諸派・新)24,264票。乙武洋匡氏(無所属・新)19,655票。吉川里奈氏(参政・新)8,639票。秋元司氏(無所属・元)8,061票。福永活也氏(諸派・新)1,410票。根本良輔氏(諸派・新)1,110票ということになった。

事前の予想と比較すると、酒井・金沢・吉川・秋元各氏などはこんなものだろう。須藤氏が大健闘で、飯山氏と乙武氏は惨敗といったところか。

酒井氏については、本人の政治家としての素質については立憲民主党関係者からも疑問を聞いていたが、昨年12月の江東区長選挙で次点となっており、地元への浸透は十分で、有利な状況を生かすにはよい候補だった。

この結果について、NHKの出口調査などをもとに分析してみたい。

江東15区の候補者

政党支持率を見ると、自民24%、立民8%、維新8%、公明3%、共産3%、国民2%、れいわ1%、参政1%、都民1%、とくになし43%でとくに顕著な傾向はない。立憲や共産は上向きだが、酒井候補の得票に比べたら遙かに下である。

立憲民主党の酒井氏は、立憲民主党の支持層の80%あまり、共産党の支持層の70%台半ば、自民党の支持層の10%あまり、日本維新の会の支持層のおよそ10%、無党派層の30%あまりから支持されていた。

須藤氏は、自民党の支持層のおよそ20%、公明党の支持層の20%台半ば、無党派層の20%あまりから支持された。自民、公明の支持層から意外に支持を集めた。須藤氏はもともと立憲民主党の参議院議員だが、れいわや参政党とも関係があり、左右を問わずポピュリスト票を集めた感じがある。

維新の金澤氏は、日本維新の会の支持層の70%あまり、自民党の支持層のおよそ20%、無党派層の10%あまりだから、維新の支持層を固め、自民の支持層からもそれなりだが、無党派で取れなかった。候補者にもう一つ魅力がなかったということで、次点になれなかったのは惜しいことだ。

小池知事が推した乙武氏は、自民党の支持層の10%あまり、公明党の支持層の50%台半ば、国民民主党の支持層の40%台半ば、都民ファーストの会の支持層の30%台半ば、無党派層の10%あまり。小池知事がなぜ乙武氏を候補者にしたかは理解に苦しむ。公明党にとっては、女性問題で積極的には推しにくい候補だった。ただ、政策的には公明党と親和性は高く、小池知事に対する貸しという面もあってそこそこ票を回した感じはある。

日本保守党の飯山陽氏は、自民党の支持層の10%台半ば、無党派層の10%台半ばかの支持で、自民党が独自の候補を立てない中でこの得票は惨めな結果だ。これでは、次期総選挙で日本保守党から出ようというまともな候補を得にくくなったのではないか。江東区という庶民的なところに学者で地上波テレビ局のエリート幹部の奥様というのもそぐわなかった。

政党のほうから見ると、自民支持層では須藤氏がトップ、維新の金沢氏、飯山氏が続くというのだからもはや政党の体を成していない。これ以上飯山氏に票が流れやすい状況はなかったが、須藤氏、金沢氏より少なかったのは朗報といえる。

参政党は、もともと関係が深い須藤氏との競合で支持層はそちらに回った印象がある。その中では健闘した方だろうか。

無党派層では酒井・須藤・飯山・金沢・乙武各氏の順だが、須藤氏が立派と言うしかない。

島根については、津和野藩主で岩倉具視の子孫・世襲代議士で、容姿もまずまずのお嬢さまである亀井亜紀子氏が、保守層に受けがよかっただけであろう。世襲代議士が大好きな島根県人にはお似合いである。自民党は次は竹下登元首相の孫で、北川景子氏の夫であるDAIGO氏で勝負したら勝てるはずだ。

いずにせよ、これだけ綺麗な負け方だと、6月総選挙などとんでもないことだ。岸田首相に外交実績など上げてもらって、政治改革でもう一歩踏み込み、9月に米国大統領選挙をにらみつつそれに合致した新総裁を選び、米国新大統領などに支援されつつ立憲民主党をあらゆる手を使って抑えるしかないのではないか。

いっそ村山富市政権にならって山口那津男公明党代表に総理になってもらって時間稼ぎするのが本当はいちばん賢明だが、公明党のほうが受けてくれそうもない。