2024.04.29

「スイング中、頭を動かすな!」という誤ったゴルフの教えと、その代わりに「じつは大切にしたほうが良いこと」

「生涯スポーツ」の代表格と言われてきたゴルフですが、残念ながら、ケガや病気を理由にゴルフから離れてしまう人が多いのが現実です。じつは、その原因の一つにはゴルフスイングに対する日本の“間違った解釈”があります。
1995年に渡豪して以来、約30年にわたってゴルフの最先端をいくオーストラリアで最新の理論を学びながら、トッププロからアマチュアまで、さまざまなゴルファーの指導をしてきた著者が、世界標準のスイングを身につけるメソッドについて解説します。
*本記事は、板橋 繁『エイジシュート達成を目指せ! 〈50歳からの〉科学的ゴルフ上達法』(講談社)の内容を一部抜粋・再編集したものです。
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スイング中、頭を動かすな!

日本では、「ボールをよく見て打つ」ことが基本中の基本とされています。「ボールをしっかり見て、頭を動かすな」――そう教わった方がほとんどでしょう。

しかし、私に言わせると、そのアドバイスはかえってスイングを壊してしまいます。バックスイングで頭を動かさずにボールを見ようとすると、どんどん頭がボールに近づいていってしまいます。また、トップでも左足に体重が残り、リバースピボットになる危険性が高まります。

ダウンスイング以降も、頭を動かさないことの弊害があります。かつて「ゴルフの帝王」とよばれたジャック・ニクラウスは、「ヒット・イット・ハード・ビハインド・ザ・ボール」という言葉を残しました。

「頭を右に残して、ボールを思い切り叩け!」―これは、現在も日本の99%のゴルファーが当たり前のように目指している動作です。インパクトを過ぎてもボールの垂線上の右側に頭を残し、フォローでは頭とクラブヘッドが逆方向のベクトルをもって互いに引っ張り合い、大きなスイングアークで飛ばすのがカッコいいスイングとされてきたのです。

しかし、頭を残してスイングすると首に大きな負担がかかります。松山英樹選手のスイングは頭の残ったフォローに特徴がありますが、あの強靱な体の持ち主である松山選手でさえ首を故障してしまいました。一般のアマチュアが頭を残すことを意識したら、いずれ頸椎のケガで苦しむことになるでしょう。

フィニッシュでも、体が逆Cの字形になってしまうため背中や腰への負担が相当かかります。にもかかわらず、この「頭を動かすな」ということが、ゴルフスイングにとっていちばん大事なことのように言われているのは、とても悲しく思います。

大事なことは、頭ではなく、体幹を意識することです。体の中心に太い軸(体幹)があり、お尻を貫通して斜めに地面に突き刺さる「筒」のようなイメージをもってください。

その軸の位置や傾きがブレたら、当然、頭も動きます。この頭の動きはよくありません。しかし、ゴルフスイングは「軸回転」です。その軸の回転に連動して頭が動き、顔の向きが変わるのは自然なことです。

私はこれまで、さまざまなデータを検証してきましたが、トッププロでもバックスイングで顔の向きが変わらない人は一人もいませんでした。体の中心に太い軸を意識してバックスイングすると、トップでは鼻筋が正面から約30度、右を向きます。これが、自然な頭の動きです。頭を止めてバックスイングしてはいけないのです。

さらに言えば、トッププロたちは、決してボールを凝視していません。ボールの周辺をなんとなく見ています。だから、軸回転に連動して顔の向きが変わっても気にならないのです。

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