「自分は特別扱いされて当然」…日本社会で「自己愛」が強い人が多すぎる「危うい現実」

根性論を押しつける、相手を見下す、責任をなすりつける、足を引っ張る、人によって態度を変える、自己保身しか頭にない……どの職場にも必ずいるかれらはいったい何を考えているのか。発売たちまち4刷が決まった話題書『職場を腐らせる人たち』では、ベストセラー著者が豊富な臨床例から明かす。

「自己愛過剰社会」

現在の日本社会では、「自己愛過剰社会」と呼べるほど強い自己愛の持ち主が増えていることも大きい。

もちろん、これは日本だけの現象ではない。むしろ、アメリカのほうが強い自己愛の持ち主が多い。そのためか、強すぎる自己愛はアメリカの宿痾と指摘する声もあり、『自己愛過剰社会』という本が出版されているほどだ。

アメリカがこのような社会になったのは、「自尊心をもち、自己表現や『自分を好きになること』ができる社会を築こうとするうちに、アメリカ人はうかつにも大勢のナルシシストを生み、さらに誰もが彼らに似た振る舞いをする文化を築いてしまった」からである(『自己愛過剰社会』)。

これは他人事ではない。アメリカをお手本に自由で民主的な消費社会を築こうとした日本にもそのまま当てはまる。自尊心も、自己表現も、「自分を好きになること」も、日本の教育が現在目指しているものにほかならない。そういう教育がアメリカと同様に大勢のナルシシストを生み出す結果を招いても、不思議ではない。

現在の教育において何が一番問題かといえば、「甘やかし、褒めすぎる親たち」が多いことだろう。子どもの欲求を最優先するあまり、子どもがほしがるものを何でも与えるようになった。また、褒めて育てることが推奨されているのは、「褒めてやれば自尊心が高くなり、ひいては成功につながると信じている。また、褒めれば成績が上がる、褒めれば褒めるほど能力が伸びると思い込んでいる」からだろう(同書)。

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  • 今を生きる思想 ジョン・ロールズ 誰もが「生きづらくない社会」へ/玉手慎太郎
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  • 5月の発売予定
  • 現代新書100(ハンドレッド)創刊!
  • 職場を腐らせる人たち/片田珠美
  • 老いた今だから/丹羽宇一郎
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