「勉強できない人」と「勉強ができる人」の決定的な「考え方の差」

誰もが心当たりがある…

なぜ組織の上層部ほど無能だらけになるのか、張り紙が増えると事故も増える理由とは、飲み残しを放置する夫は経営が下手……。

12万部ベストセラーとなっている『世界は経営でできている』では、東京大学史上初の経営学博士が「人生がうまくいかない理由」を、日常・人生にころがる「経営の失敗」に見ていく。

※本記事は岩尾俊兵『世界は経営でできている』から抜粋・編集したものです。

〈図書館や喫茶店などにおいて一心不乱に教科書や参考書を蛍光ペンでカラフルに塗りたくっている人に出くわすことがある。

みるみるうちに三、四、五本と次々に新しい蛍光ペンが登場して彩りが足されていく。ときどき「ああっ、ピンクがもうないじゃん」などと愚痴をこぼしている。どうしようもなくなって、充血させた目をひん剥いて「だめだ、ピンクがなきゃ」と、インクが切れた蛍光ペンを買いにダッと駆け出すことも珍しくない。

こうしてようやく出来上がった充血と腱鞘炎の結晶の「作品」は確かに美しい。だが果たしてその人は本当に色彩豊かな現代アートを作りたかったのだろうか。それとも本当は「勉強」をしたかったのだろうか……。

きっとカラフルな教科書・参考書を作っている最中の脳波を測定してみれば、記憶をつかさどる海馬よりも視覚をつかさどる後頭葉が活性化しているだろう。〉(『世界は経営でできている』より)

〈歴史や法律などの一般に暗記科目と呼ばれるようなものでも、分厚い用語集をはじめから終わりまですべて暗記してしまおうとする人がいる。しかし用語集には無味乾燥な解説が並ぶ。こんなものを暗記できる人の方がどうかしている。根性で必死で食らいつく。本当に、文字通り、ヤギ顔負けに用語集を一ページずつ食べながら、メェメェ鳴きながら用語を覚えていく人もいる。

そうまでして暗記しても試験では点数が取れない。負けるか、とばかりにますます細かい用語を暗記するがいつまでたっても結果は出ない。こうして日本史・世界史用語集の前に「無条件降伏」する……。

哲学、社会学、経済学、経営学などの学問に興味を持った人も似たような状況におちいる。そうした人は、興味を持った学問の中で古典/定番とされている大著に最初から手を出す。SNS等で見かけた「○○学をやるなら、難しくとも最初から原著に当たれ」という専門家らしき人の至言に影響される(専門家も大抵は入門書しか読んでいないのは秘密だ)。〉(『世界は経営でできている』より)

人間誰もがどこかのタイミングで勉強するするが、できる人とできない人でわかれてしまう。多くのできない人はどういった罠に陥るのだろうか。

たとえば、ある分野を理解しようとして、大著を選び、一言一句覚えようとした場合――。

〈大著が難解なのは著者自身も混乱しているからである。

なぜならば人間の思考は始まりも終わりもなく、行っては戻ってぐるぐる回っている「円環」だが、本は表紙と裏表紙が必ずある「直線」だからである。だから著書の最初に書いてあることが著書の終わりを知らないと一切理解できないことなどはざらにある。

そのため、何らかの学問を学びたいときも、入門書で全体観を把握してしまうか、難解な本は「とにかくページをめくってしまって全体を理解してから二回目に精読する」方が理解しやすい。〉(『世界は経営でできている』より)

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