2024.04.18
# サッカー

西日本に続々サッカースタジアムが建設される「怪」

広島の新スタジアム「ピースウイング広島」

今年の2月、広島市に新スタジアム「ピースウイング広島」がオープンした。球技専用競技場でJリーグ、サンフレッチェ広島のホームスタジアムとして使用されているが、Jリーグ開幕戦には2万7545人が集まった。その後、4月3日までに4試合が行われたが、いずれも2万5000人以上が来場。昨年のJリーグでの広島の平均入場者数は1万6128人だったから約60%の増加ということになる。

一昨年、昨年と2年連続でJ1リーグ3位に入った広島は今シーズンも好調を維持しており、新スタジアムでの9年ぶりの優勝を目指したいところだ。

“新スタジアム効果”はJリーグだけではない。女子サッカーのWEリーグでも新スタジアム最初の試合となったアルビレックス新潟戦には4619人が入場。昨シーズンのWEリーグでの広島の平均入場者数は1089人だったから、こちらはなんと4倍増だ。

photo by gettyimages

建設費約250億円と言われているが、これだけの観客動員ができれば十分に元が取れる投資だったと言っていいのではないか。

昨年までの広島の本拠地は1994年に開催された広島アジア大会のメインスタジアム、広島ビッグアーチ(広島広域公園陸上競技場)だった。

こちらは陸上競技場だからスタンドからピッチまでの距離が遠く、メインスタンドの一部を除いて屋根が付いておらず、雨天時には雨に濡れながら、あるいは夏の強烈な日差しに曝されながらの観戦を強いられた。さらに、広島市内からは新交通「アストラムライン」やバスを使って30分以上かかるのでアクセスも悪く、入場者数は伸び悩んでいた(そもそも、築35年が経過しているだけに施設も老朽化していた)。

 

一方、広島市の中心部に完成した新スタジアムは平和公園や原爆ドームからも近く、中央公園広場からのコンコースがスタンドまでつながるなどアクセスは抜群。球技専用なのでスタンドからピッチまでは8メートル。そして、スタンド全面に屋根が付くなど観戦環境も大幅に改善された。

スタジアムは広島市が事業主体となって建設されたが、完成後にはチームの運営会社、株式会社サンフレッチェ広島が指定管理者に選定されることが予め想定されており、最初からJリーグでの使用を目的に設計されただけに様々な工夫がなされている。

たとえば、30人程度のグループでくつろげる「パーティーテラス30」やテーブル付きで横に並んで座る「カウンターシート」など席種はJリーグで最多の42種に分かれ、ラウンジやレストランも充実している。

関連記事