ついカーッとなってしまってキレてしまうことがある――。それは心の中に住む「もうひとりのあなた」が引き起こしています。
その「心の防衛機構」を「ナイト(騎士)くん」と名付け、誰かに頼るのではなく、あなたがあなた自身を助けることができる方法をお伝えしている『わたしが「わたし」を助けに行こう ―自分を救う心理学』(サンマーク出版)より一部抜粋、再構成してお届けします。
ナイトくんの正体は、もうひとりのあなた
人間の心は本当によくできていて、誰も助けてくれない、わかってくれないと理解したときから、自分の中にもうひとりの自分を生み出します。
誰も助けてくれないのであれば、自分の中にもうひとりの誰かを生み出して、そのもうひとりの自分に守ってもらおうとするのです。
自分を守ってくれる「親代わりの存在」を自ら心の中に作り出すのです。
つまり、必死で生き延びるために、幼いながらもなんとかしようと、自分の中に自分を守ってくれる存在を作り出します。
これが、ナイトくんの正体です。
これは人間誰もがもっている力。
異常なことや、おかしいことではありません。正常な心の働きです。
程度の差はあれ、自分を守るために生まれた自分自身が、誰でも心の中に存在しています。
心理セッションを通して、クライエントさんのナイトくんたちと出会うときに、私はいつも感動します。
人の心の力強さ、誰に教えてもらわなくても自分で自分を守るその機能に感動し、涙が出てくるときがあります。
ただ、ご本人は自分の中にもうひとりの自分(ナイトくん)を作り出して心を守っている、なんてことに最初は気づけません。
練習を何度も重ねないと、このナイトくんには気づくことができません。