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プライベートデット・ファンドの実態と金利上昇下の動向

2024年4月12日

金融機構局 黒田航一、長谷部光、伊藤智、池田大輔

要旨

プライベートデット(PD)・ファンドは、主に信用力の低い中堅・中小企業を対象に直接融資を行うファンドである。グローバルな金融危機後の低金利環境下での運用ニーズの高まりや金融規制強化等を背景に、米国を中心に、借り手企業・投資家の裾野を広げつつ、運用資産が拡大してきた。ただし、米欧で金利が上昇した近年は、新ファンド立ち上げにかかる期間の長期化や大手ファンドへの資金集中が進んでおり、新規出資は減少傾向にある。なお、わが国のPDファンドの市場規模は、米欧対比で極めて限定的である。PDファンドについては、運用実態の透明性の低さや金融システム内の連関性の高まり、信用の急拡大に伴う脆弱性の蓄積、一部にみられるオープンエンド型ファンドの流動性リスクなどへの警戒感が指摘されている。より長い目でみた持続的な経済成長のための効率的な資源配分への影響も含めて、その動向に注目していく必要がある。

日本銀行から

日銀レビュー・シリーズは、最近の金融経済の話題を、金融経済に関心を有する幅広い読者層を対象として、平易かつ簡潔に解説するために、日本銀行が編集・発行しているものです。ただし、レポートで示された意見は執筆者に属し、必ずしも日本銀行の見解を示すものではありません。

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