現状に対する未熟な判断が命取りになった

現状に対する未熟な判断が命取りになった

今回は、今日の持ち越しポジションは大甘だったかもしれないなぁ・・・。「米国の金融危機は一段落してリバウンドする局面」と考えたけれど、実際金融危機状況ではない日本市場でも、金融株はほとんど戻っていなかった。これは海外勢が様子見姿勢を崩していないと見なければいけないのに、そこに気づけなかった自業自得であることは言うまでもないけど。

ポジションの根拠となったのは、昨夜アップした記事の内容通り。

この中で第2章の「米国金融不安は収束へ」に書いた内容が、甘いのだということ。ここでは、今回の金融不安の理由を「取付けによる準備金の枯渇と債券価値の劣化」を問題にしたわけで、それが原因で今回の一連の出来事が起こったというのならば、または根本的な原因に「意図的な預金引き出し」があったということならば、SVB等個別銀行についてはその通りだと思うけれど、それにしては金融当局の対応が電光石火のごとくだったことに、途方もない違和感を感じるんだよ。

考え方の何処かが違う、何かが理解できていないのだろうと、今夜考えてる。

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仮想通貨の高騰の意味を理解できていない?

最も流動性の高いビットコインを見てみると、米国金融危機直前では約270万円くらいだったのがあれよあれよという間に2日、3日で350万円にまで急騰している!そして現段階でも値を保っているわけで、国際的な規制が言われている最中で、急激に資金流入が発生しているわけで・・・。

ビットコインの買い主体は個人だろうけど、つまりビットコインに退避してるという事なのかもしれないし、もっと言えばドルよりもビットコインの方が安全と見ているのかもしれないんだよね。「ドルよりも安全!?」ってどういうことなのか?高インフレの最中で、しかも米国債務上限の限度額を実質超過している状況で、米国金融システムが怪しくなれば「ドルそのものの価値が怪しくなる」と考えているのかもしれないし、単純に銀行預金よりもマシ、思っているのかもしれない。

つまり、米国の投資家は金融不安が払しょくできたとは考えていないことを示す兆候なのではないか?と思うよねぇ。つまりはセンチメントとして金融不安は根強く残ってるということなのだろう。

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債券価格の下落は関係なかった

多くのメディアが指摘しているように、今回の銀行破綻や危機の原因はFRBの急激な利上による債券価値(国債価値)の暴落があげられているけれど、それに乗せられてしまって、トウシロウのように同調してしまった自分が恥ずかしいよ。正直そんなことは一切関係ないということは常識だよねぇ・・・。事の本質は預金が急激に失われたという事実にあるんだよね。

そもそも銀行は、豊富な資金を貸し出して利鞘を稼ぐのが商売という言われ方をするけれど、それも大きな間違いだろう。例えば手元資金が100万円あれば、それを企業や個人に貸し付けて金利を稼ぐ。その資金は基本的には自行口座に置かれるから全額とは言わないまでもその資金をさらに企業や個人に貸し付け、またその資金は自行口座に置かれる。これを繰り返すことで100万円が乗数効果的に繰り返されることで、大きな効果を生むという所謂「信用創造」によって銀行経営は成り立つ。

なので信用創造によって100万円が何倍もの資金であるかの如く効果を発揮するわけだ。そこに預金者がそれぞれ預金を引き出せば、大本の100万円がなくなるだけでなく、それ以上に何倍もの準備金が必要になってしまう・・・。素人感覚ではこれは金融のバブルゲームにさえ感じられるよね。

要するに信用創造の崩壊であって、預金を大量に引き出されてしまうと、簡単に破綻するんだよなぁ・・・。なので今の金融システムにとって預金の大量引き出しは即破綻に繋がるし、信用創造で成り立ってる金融システムは呆気なく崩壊する可能性が、実は見えてしまったという事なんだよね。

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本質はリーマンショックと同じ

ある日突然手持ち債券が流動性を失い、実質無価値となったリーマンショック。高金利のサブプライムローンを債券化し、分割して通常債券に組み入れることで高利回りを演出したわけだが、今回は国債の金利上昇による価格低下なので、本質的に異なる、と書いてしまったわけだが、それは金融危機の要因が債券であるという間違った前程でのことだった。

そうではなくてリーマンショックは資産計上していた債券価値が消失したことで、金融機関の信用不安を引き起こし、今回は大量の預金引き出しによって準備金を失ったことで信用創造の根本が崩れたということ。双方、トリガーは異なれど、信用創造機能が失われたということで、本質的には何も変わらない。

そうなると金融機関はたちどころにキャッシュ不足となるし、銀行にとってそれは破綻を意味するわけだ。

それとクレディは大丈夫か?という問題も認識不足だった。スイス当局が最大約7兆円の補償を与えたことや、実質国有化することで財務体質を洗い出すので沈静化できると書いたけれど、これも大間違いだった。7兆円とは通常営業が前程であるし、クレディの信用創造規模からして、有事の際には7兆円では全く役に立たないということ。ただ、破綻回避のためにギリギリの資金という意味合いだろうけど。

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FOMC利上げ実施なら株式市場暴落

世界でクレディスイスが持ちこたえると考えているのは、ECB総裁のラガルドだけかもしれない。破綻懸念が続く中、(その異様な意図はないにしても)追い打ちを掛けるがごとく0.500pのサプライズな利上げを断行した。このことで、今月のFOMCもまた予定通り0.250pの利上げを行うだろうという観測に傾いているわけだが・・・。

巷では予定通りの利上げなので、特に市場は反応せずかあるいは下落しても一時的ですぐに回復というシナリオを盛んに言っている。しかし、本当にそうなのだろうか?これだけ金融に対するセンチメントがネガティブに傾いている状況での利上げは、俺は暴落のトリガーになると思っている。

なので個人的な予想は「利上げ見送り」しかFRBには選択の余地はなく、今は金融パニック誘発を全力で阻止すべき時と思うが・・・。

一時の判断ミスが・・・買持ポジは全滅ですね。ヤラレタなぁ・・・。