雇用統計はサプライズじゃない!?

雇用統計はサプライズじゃない!?

いやはや、一夜明けて雇用統計を改めて見たけれど、小売り・サービス、輸送、政府部門が急増しているね。これはもう、FRBの目論見が一夜にして完全に覆った感じがするし、あのFOMCでのパウエル議長会見はこうしたデータを知らなかったのか?って思う。まさか、何も聞かされていないということはなくて事前の傾向くらいは入っていたとは思うけど・・・。

これを受けて、ドル円は一気に¥131台までそれこそ一本調子に円安。う~ん、俺はソニーの想定為替レート¥134/ドルというのを馬鹿にしてたというか、決算のドレッシングに使ったな?と観てたんだけど、これはちょっと侮れなくなってきた。

米国投資家もあの決算で何のためらいもなくADRでソニーを買いまくってたけどね。あの決算は他に評価されるポイントなんてあったのか?ってことだけど。この週末は米国投資家の間でも雇用統計を巡って騒然としてるんじゃないかと思う。それほど、あまりにもサプライズの数字になったと思うよ。

それともう一つ気になったのが流通とか輸送部門の大幅増加。先日ラッキーなマグレ当たりでファイズのS高に恵まれたんだけど、あの会社を仕込んだ理由というのがまさに流通・輸送だった。アマゾンが主要顧客だったということも理由にあったけれど、もしも景気が回復してくると一般の小売店もそうだけど、とにかく鍵を握るのは物流なんじゃないかってね。実際爆発的な決算でS高のあといまだに株価は上昇してる。

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それがあの広大な米国での物流と言うのを考えたとき、そして世の中の雰囲気が「インフレは終わった」となったら、そりゃ雇用するでしょ。ガソリンやディーゼル油の価格も下がったから、その分雇用しても大丈夫だというマインドは分る。中国からの輸入も回復しつつあるしね。

この日本だって全国各地に続々と物流拠点が出来ているよね。ちょっと遠出してみると高速のインターの景色が真新しい物流倉庫で一変してる。日本ではなかなか投資が行われないけれど、この部門は正直疲れを知らないというか・・・。みんなね、アマゾンの物流拠点に刺激を受けてるんだろうけど。非正規社員もピッキング募集が増えてるらしいし。

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米国はサービス産業の大国なんだよね。それを忘れて製造業景況指数が低下したとかを重視する昔からの傾向があるけれど、現実には主だった製造業の拠点は海外だろう?そして常に思うのは米国のGDPの7割は個人消費だという事実。個人消費がダメなら米国経済はダメ。その個人(家計)のファイナンスが限界にきていて、カードローンはいっぱいいっぱいで貯蓄も史上最低水準。だからもう少し消費に軸足を置いてみないと判断を誤ると思う。

そういう意味では新型コロナで3年間押さえつけられた個人消費、中でもレジャーやサービスというジャンルは反動期にあるし、その影響で物流とかも一斉に戻ろうとするだろうからこういう雇用統計になってもあまりサプライズと捉えてもね。もちろんそんな数字は予測できなかったけれど。でも問題は、思ったほどに消費が伸びないとすると、また雇用の揺り戻しが起こるかも。

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これをしてインフレ再燃、と考えるのはどうかと思うよ。ただインフレは高止まりすることは確かで、また雇用は伸び悩むことは確実だと思うし、FRBはさらなる利上げをまだ考える必要もなくて、ただ、言えることは利上げをしているうちが華っていうか、FRBが利下げに踏み切るとすると経済の後退は相当に厳しくなってるときだということ。0.750pずつ利下げなんかできないし。

なので個人消費も減少圧力がかかってくるし、その流れを止めるのは過度な消費を米国人が諦めるしかない。そもそも、雇用統計を過度に捉えること自体ナンセンスなのかも。景気は一進一退を繰り返して悪化するものだからね。

(アイキャッチ画像は言うことがころころ変わるサマーズ 笑)