2023.02.04

「賭け麻雀事件」から2年半…いま検察内で起こっている「驚きの人事」の内幕

女性初の検事総長の誕生か

女性初の検事総長の誕生か

法務検察ナンバー2の東京高検検事長に1月10日付で畝本直美氏(司法修習40期)が就任したことで、女性初の検事総長の誕生が現実味を増してきた。一方、総長候補の登竜門である大臣官房長、刑事局長、事務次官を歴任した辻裕教・仙台高検検事長(同38期)は今回の人事異動で外された形だ。組織内部では、ある有力OBの意向ではないかと囁かれている。  

そのOBとは林眞琴・前検事総長(同35期)。辻氏は'20年1月の事務次官時代、当時の黒川弘務・東京高検検事長(同)の勤務延長人事などを主導したとして検察内外の批判を受けた。そのあおりで当時、名古屋高検検事長に転出させられていた林氏との関係もぎくしゃくしたとされる。  

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畝本氏の起用で辻氏の検事総長の芽は消えたとみられるが、もうひとつ注目を浴びた抜擢人事が、法務省刑事局長に就任した松下裕子氏(同45期)だ。松下氏は「林氏の秘蔵っ子として、女性初の特捜部副部長を務めるなど将来を嘱望されてきた人材」(検察関係者)と言われる。  

同時に松下氏の人事は、林氏とも良好な関係で「特捜エース」と呼ばれる1期年長の森本宏・東京地検次席(同44期)を法務省ゾーンに戻さないことを内外に示す意味も持っている。ある中堅幹部は「森本氏を捜査の現場に置いて政権へのにらみを利かせつつ、将来の総長候補として松下氏と森本氏の2人を競わせるという、林氏の思いが詰まった配置だ」とみる。

「黒川事件」から2年半、まだ余波は止んでいない。

「週刊現代」2023年2月4日号より

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