本記事は、ひろゆき氏の著書『99%はバイアス』(ダイヤモンド社)の中から一部を抜粋・編集しています

99%はバイアス
(画像=buritora/stock.adobe.com)

「老害」になってしまう瞬間

「王様はハダカだ」と言い続けられる大人は、どんな人だろう。

さまざまな業界や年代の人と話をしていると、「この人は柔軟な考え方だな」と思うときがある。

その一方で、「どうしてこんなに頭が固いんだろう」と思うこともある。

どちらかというと、後者のほうが多い。

特に、社会的に一定のポジションになったことのある人は、概して、後者であるように見える。そういう人が行き着く先が「老害」なのだろう。

これまでの自分の行いを「すべて正しかった」と解釈している人は、どこかのタイミングで若者の考えとズレが生じる。

20年前のパワハラも、「あの頃は当たり前だった」「あれによって自分は鍛えられた」と、正当化してしまう。

「夫婦別姓はよくない」

「ネット投票はよくない」

当たり前のように、そう言っている老人がいる。

なぜなら、自分たちがそうしてきたからだ。

新しい仕組みが登場すると、「変わることのリスク」のほうに目がいってしまう。よくわからない不安が出てくるから、「とりあえず反対」という立場を取るようになる。

いわゆる「現状維持バイアス」だ。これが、非常にやっかいである。

新しい仕組みが出てきたとき、1秒で、それを理解しようとするスタンスを取ったほうがいい。

新しいものを理解しないのはどういう状態だろうか。

「写真にうつると魂を抜き取られる」

「携帯電話の電波が脳をおかしくしてしまう」

昔、こんなことを当たり前のように言っている大人たちがいた。カメラやケータイなど、新しいものが出てきたときに「不安」が勝ってしまったのだ。

しかし、今はもうそんなことを言っている人はいない。

新しいものに反射的に「よくない」「けしからん」と言う人は、いくら若かろうと老害だ。

そうならないためには、新しいものを受け入れるために勉強をすることだ。自分が理解するまで専門家の話を聞いたり、自分から調べることをしないといけない。

年をとって偉くなったような人は、「教えてください」ということがなかなか言えない。

中には、貪欲に新しいことを吸収しようとする人もいる。謙虚に若者に向かって質問するような人もいる。

でも、残念ながら、それはかなり少数の人たちだ。

あなたが最後に他人から「教わった」のは、いつだろう?

そして、それは社会が成長していく限り、死ぬまで続く。

どこかのタイミングでスパッと学ぶことが必要なくなるわけではない。

バイアスにまみれた人は、「自分の実力ではないもの」を得意げに話す。

「日本人であることに誇りがある」

「親の収入や学歴が高くて、育ちのいいことが自慢です」

そうやって、環境や運によって得られたものにプライドを持っている。

でも、それは別に「あなたが選んでいませんよね?」と僕は思う。

たしかに世の中、自分の実力ではどうしようもないことばかりだ。受験も就職も、ビジネスも結婚も、「運」の要素が絡んでくる。

とはいえ、「自分でこれを選んだ」と言えることであれば、プライドを持っていいと思う。たまたまうまくいったことであっても、それを可能にしたのは、ある瞬間に「こうしよう」という選択があったからだ。

しかし、自分が選んだわけでもないのに得られたものに対して「これは自分の実力だ」と思い込んでいるのは、とても残念なことだと思う。

どんな些細なことでもいいので、「自分で選んだ」「こっちの道を選んだ」ということに自覚的になったほうがいい。

99%はバイアス
ひろゆき
本名:西村博之
1976年、神奈川県生まれ。東京都に移り、中央大学へと進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年から、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人になる。2021年、自身のYouTubeの切り抜き動画の再生回数は、月間3億回を突破。主な著書に、45万部を突破した『1%の努力』(ダイヤモンド社)がある。

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