「給料」は来月まで生き延びるための「必要経費」!?~僕らの給料の決まり方

その働き方、あと何年できますか?(1)
ベストセラー『僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?』から10年、前作では正しく頑張る方法を提案した。新刊『その働き方、あと何年できますか?』では、いよいよ進むべき方向が正しいか見直し、会社でも自営でもより幸せな働き方ができるよう提案している。必要なのは「労働生産性」でなく「自己生産性」。自己生産性を上げるヒントを本書から紹介する。

このまま頑張れば「給料」は上がるのか?

数年前から「働き方改革」に焦点が当たっています。日本人の長時間労働はやっぱり度がすぎていますし、そもそもぼくらはそんなに仕事に時間をかける必要はないとずっと考えていました。これまで日本人は企業の要求に従って、必要性を吟味することなく長時間労働をしてきました。ここで立ち止まって考えることが大事です。

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しかし同時に、世の中で言われている「働き方改革」で本当にぼくらの状況が改善するのかも立ち止まって考えなければいけない、と感じています。

ここで、あなたに改めて考えてもらいたいことがあります。

このまま企業が求める生産性を向上させれば、あなたの「給料」は上がるでしょうか?

仮に生産性を倍にできて、倍の成績を残せたとします。そのとき、あなたの給料はどれくらい増えていそうでしょうか? 倍になっていそうでしょうか?

残念ながらそうはなりません。日本企業の給料の決まり方から考えると、生産性を上げたところで、あなたの給料はほとんど上がりません(ぼくらの給料の上がり方はのちほど解説します)。

ではもうひとつ、こちらの質問はいかがでしょうか?

働き方改革が達成できたら、あなたは自分の仕事にやりがいを持てるようになりますか?

働き方を「改善」できれば、あなたの仕事のやりがいは向上して、あなたの仕事ストレスは減りますか? もしYesであれば、この働き方改革は正しい方向に進んでいます。

「熱意あふれる社員」の割合がたった5%

しかし、そうではないのでは? 実際には、上から言われたから「改革」しようとしているだけで、自分のやりがいや仕事ストレスを改善できるかどうかすら、考えたことがない方が大半ではないでしょうか?

2017年に米国のギャラップ社が全世界1300万人を対象に実施した調査では、日本
企業は「熱意あふれる社員」が6%しかおらず、アメリカの32%と比べて大幅に低く、調査した139ヵ国中132位と最下位レベルでした。さらに、最近’21年の調査ではそれが5%に下がり、「働きがい」を感じている人は諸外国と比べて低い水準をキープしたままです。

生産性を向上させろと言われますが、それをしたところで、ぼくらの給料が増えるわけでもないし、やりがいが増すわけではない。だとしたら、何のための「働き方改革」なのでしょうか? 誰のための改革なのでしょうか?

ぼくらは去年と「同じところ」にずっと居続けている感覚を強く持っています。1年前、3年前、5年前の自分と比べて、今は確実に改善できていると自信を持って言えません。給料は変わらず、自分の経済状態が向上している感じがしません。仕事内容もさほど変わらず、毎日同じようなことをくり返しています。いったいなぜこういう状態になってしまっているのでしょうか?