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国有財産分科会(令和4年5月31日開催)議事録

 

財政制度等審議会 第55回国有財産分科会 議事録

令和4年5月31日
財政制度等審議会


財政制度等審議会 第55回国有財産分科会 議事次第

 

令和4年5月31日(火)14:59~16:09
財務省第3特別会議室(本庁舎4階)
  1. 開会の辞
  2. 議事
    (1)令和3年度国有財産監査の結果について
    (2)第三者チェックの実施状況について
 

3.

閉会の辞
配付資料
    資料1 令和3年度国有財産監査結果報告及び監査指摘フォローアップ
    資料1参考 令和3年度監査結果一覧表
    資料2 第三者チェックの実施状況
出席者
    委員

奥田 かつ枝

        

 

亀坂 安紀子

        

 

        川口 有一郎           

 

        小林 健          

 

 

 

 
    臨時委員      川嶋 三恵子           

 

 
        児玉  平生         

 

 
        佐谷  和江          

 

 
  滝澤  美帆         

  

 
  松尾  弘         

  

 
  野城  智也         

  

 
  

 

    専門委員 津田  廣喜          

 

 

 

 
    財務省  岡本  財務副大臣         

  

 
  角田  理財局長                
  嶋田  理財局次長         
石田  理財局総務課長         
  柴田  理財局国有財産企画課長                 
木村  理財局国有財産調整課長
吉田  理財局国有財産業務課長
梅野  理財局国有財産業務課国有財産審理室長
瀬川  理財局国有財産調整課国有財産監査室長

午後2時59分開会

〔 小林分科会長 〕 それでは、定刻となりましたので、財政制度等審議会第55回国有財産分科会を開催いたします。
 開催に当たりまして、岡本財務副大臣から御挨拶をいただきます。お願いします。

〔 岡本財務副大臣 〕 皆様こんにちは。財務副大臣の岡本三成です。小林会長をはじめ、委員の皆様におかれましては、日頃より御尽力を賜りまして本当にありがとうございます。御礼申し上げます。
 本日は今事務年度最後の分科会となります。振り返りますと、昨年12月に東京メトロの株式処分につきまして諮問をさせていただき、前回開催の分科会において答申を取りまとめていただきました。その内容に従いまして、現在、東京都とともに事務的な手続を進めております。また、令和元年6月に取りまとめていただきました答申や昨年11月の行政財産の未来像研究会報告書を踏まえまして、行政財産の方向性につきまして議論をしていただきました。そのうち、国家公務員宿舎行政に関しましては、本分科会で議論をしていただきました上、いただいた御意見も踏まえまして、新しい運用にかかる通達改正を実際に行いました。
 本日は令和3年度の国有財産監査結果の御報告と第三者チェックの実施状況の御報告をさせていただくこととしています。委員の先生方におきましては、忌憚のない御意見をいただきまして、国有財産行政に生かしていきたいというふうに考えております。どうか今後ともの御指導・御鞭撻をお願いいたしまして、御挨拶とさせていただきます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。以上です。
〔 小林分科会長 〕 ありがとうございました。
 それでは、報道関係の方は御退室をお願いします。
 それでは、議事に入ります。
 令和3年度国有財産監査の結果について、事務局より説明を願います。
〔 瀬川国有財産監査室長 〕 国有財産監査室長の瀬川と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 私からは、令和3年度の監査結果と監査指摘のフォローアップについて御報告させていただきます。お手元の資料1を御覧ください。
 表紙の次の1ページを御覧ください。令和3年度の監査結果です。令和3年度における監査の実施においては、前年度に引き続き新型コロナウイルスの影響を受け、現地に赴くことができない期間があったため、スケジュールの変更を余儀なくされました。
 下段の枠内を御覧ください。このような状況の中、財産によっては現地に赴くことに代えて写真による確認を行うことなどにより、監査結果の概要にお示ししましたとおり、全国で472件の監査を実施し、29.4%に相当する139件の指摘を行いました。なお、指摘件数については、スケジュール変更に伴い、現地確認や官署との調整を年度を越えて行ったため、指摘の要否について審査中のものが8件あります。今後、これらの中から指摘を行うものがあれば、お示ししている指摘件数が増加することになります。
 理財局では、毎年度、優先して監査を行うべき重点対象を通達により定めていますが、令和3年度は未利用地や余剰スペースの創出ができないかという観点で、①の「一定の地域又は官署を特定した庁舎等」について、また、引継ぎなどの手続に滞りはないかという観点で②の「各省各庁所管の普通財産」を重点対象といたしました。これらの財産に関する監査結果は、ここにお示ししたとおりです。
 次に、令和3年度に監査指摘を行ったもののうち、具体的な事例を御紹介いたします。2ページを御覧ください。北海道財務局が行った津波が発生した場合においても庁舎機能を発揮するための対策を求めた事例です。
 まず本監査の背景を御説明します。近年、自然災害が多発し、国の機関が行う災害応急対策業務について業務継続体制の確保が重要となっております。このような業務を行う官署が入居する庁舎は、災害発生時においても必要とされる機能が発揮されることが求められ、機能に支障を来すおそれがある場合は対策を講じる必要があります。その際、監査を活用できないかとの観点から、先ほど御説明した重点対象に加え、試行的に災害発生時の庁舎の機能維持という観点で現状を確認し、問題がある場合にはその対応策を検討することを目的とした監査を行うこととしました。令和3年度においては、北海道財務局においてこの監査を行いました。
 北海道における災害想定に関しては、資料にお示ししてありますとおり、令和2年4月に内閣府防災担当から「日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震モデル」が公表されました。これを受け、北海道は北海道防災会議に「津波浸水想定設定WG」を設置し、津波浸水想定を公表しました。これを踏まえ、監査対象の選定をするのですが、今回の監査対象地域の選定や監査の着眼点等の検討に当たっては、庁舎の営繕計画や技術的な知見が必要であるため、庁舎の営繕を所管する北海道開発局営繕部と連携し、監査対象は、津波浸水想定のエリアに含まれる室蘭市内に所在する防災上重要な機関が入居する庁舎とし、災害対応を行う上で庁舎機能にとって重要である電気機械施設等の設置状況に着目しました。
 監査の結果、浸水想定区域に所在する「室蘭地方合同庁舎」及び「室蘭開発建設部」庁舎について、災害発生時に必要な機能が発揮できなくなるおそれがあることが確認されました。
 下段の左側の図は太平洋沿岸市町村の津波想定の設定範囲を表したもの、右側の図は今回の監査指摘の対象となった庁舎の場所と周辺の浸水想定をお示ししています。両庁舎とも3メートルから5メートルの深さの浸水が想定される範囲に所在しています。
 3ページ上段の枠内を御覧ください。今回指摘対象となった庁舎の写真に津波発生時の水位のイメージを重ねたものです。両庁舎とも2階床上まで浸水することが想定されていますが、自家発電設備などの電気機械設備が地下及び1階にあり、津波が発生した場合に水没し、機能しなくなることが想定されるため、対策を講じる必要があります。電気機械施設の移設については、地上部に浸水に耐え得る施設を整備することも考えられますが、可能な限り既存庁舎の上階に移設することが負担が少なく、早期に対策を講じることが可能な方法であると考えられます。
 しかし、下の枠内、監査の概要にありますとおり、現地を確認した結果、両庁舎とも効率的に使用されており、移転先となる空きスペースはありませんでした。しかし、今回の監査の趣旨を踏まえ、関係者間で協議を行い、庁舎の既存スペースを圧縮・変更するなどして、2階以上に移設場所を捻出するよう官署に要請しました。その結果、現状効率的に使用されている庁舎ではありますが、使用方法を工夫して会議室の一部を割愛することなどにより、必要なスペースを捻出する方向で調整することとなりました。これを踏まえ、今後、設備の移設について北海道開発局営繕部と連携して具体化に向けた調整を進めることとし、その旨、監査指摘を行ったものです。
 災害発生時における防災機能の確保という着眼点は、今後の監査において有効であると考えられるため、引き続き取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、4ページを御覧ください。過去に監査指摘を行った事案のフォローアップ状況をお示ししています。上段の枠を御覧ください。上段の枠内にありますとおり、現行の監査方針に転換した平成23年度から令和2年度までに指摘した事案1,352件については、令和3年度末で73.5%に当たる994件の是正が完了しました。これにより、平成23年度から令和3年度までの監査指摘に基づく国有財産の売却収入は、累計で約66.3億円、節減された賃料は約7.8億円となっております。
 下段の表は指摘した年度ごとの進捗状況をお示ししています。B欄の是正実績の括弧書きは令和3年度中に処理が完了した件数です。
 このように処理は進んでおりますが、C欄にありますとおり、指摘から長期間経過している事案も残っており、フォローアップの強化に努めているところです。今後とも各省庁の働きかけの時期を逸することのないよう、本省と財務局の連携を一層強化するとともに、必要に応じて予防司法支援制度の活用や本省間の調整も行うなど、早期処理に向け取り組んでまいります。
 次に、令和3年度中にフォローアップが完了した事例を御紹介します。5ページを御覧ください。関東財務局において令和2年度に監査を行ったつくば市に所在する財産の有効活用に関する事例です。
 監査概要にありますとおり、対象財産は茨城県つくば市に所在する文部科学省が所管する研究交流センターです。本施設は、つくばエクスプレス線つくば駅から約1キロと筑波研究学園都市のほぼ中心部に位置し、国際会議場や会議室、研究交流室などを備え、このエリアの研究者等の研究交流を推進する共同利用施設として昭和50年に建設されました。現地の監査を行ったところ、近年、各研究施設等で自前の会議室整備が進む中、施設の利用状況は著しく低調となっていることが確認されました。関東財務局は、現有施設が筑波研究学園都市に立地する施設であるとともに、まだ使用可能であることを踏まえ、会議室以外の活用も模索すべく、管理官署と調整を行うこととしました。
 本施設が立地するつくば市は、スタートアップ企業の創出・成長を加速するため、官民による集中支援を行うための拠点である、スタートアップ・エコシステム拠点都市として令和2年7月に選定されています。また、同月に閣議決定された統合イノベーション戦略2020においては、この拠点都市に対して官民による集中支援を行うこととされています。これを踏まえ、関東財務局は財産の立地する地域のニーズを踏まえた有効活用を検討すべく、管理官署と協議を重ねました。その結果、会議室としての利用以外に、スタートアップ企業のオフィス利用として施設を使用許可する方向で取り組むこととなり、その旨、監査指摘を行いました。
 この指摘を踏まえ、是正状況の欄にございますとおり、管理官署は会議室等の使用許可について、つくば市や研究機関への情報提供を行うとともに、利用者の公募を行いました。その結果、ITを活用した高齢者支援や農作物収穫用のロボット開発などを行う先進的なスタートアップ企業4社が使用許可の相手方として選定され、現時点でそのうち3社が入居し、それぞれの事業に活用していただいております。
 次に、6ページを御覧ください。近畿財務局の事例です。監査指摘事案のフォローアップについては、指摘事項のとおり完了するものが大半ですが、中には指摘後の事情の変更を受け、再監査を行い、指摘内容を変更した上で処理を完了させる事案もありますが、本件はこれに該当します。本件は、平成25年度の監査において、用途廃止の上、財務局に引き継ぐこととされた財産について、対象財産に瑕疵があり、直ちに処分が困難となったことが判明したため、再度監査を行った上で指摘内容を変更し、処理を完了させた事例です。
 対象財産は上段の図、赤枠に①とお示しした労働基準監督署敷地の一部分と、これに隣接した緑枠に②とお示しした森林事務所の敷地です。赤枠の部分は非効率な使用状況であるため、分割の上、用途廃止を求め、緑枠の部分については近隣庁舎の余剰スペースに既存の庁舎を移転した上で、2つの跡地を一体として活用すべく用途廃止を求めました。
 指摘後のフォローアップの過程で、赤枠の部分に土壌汚染が発見され、処分する場合には対策が必要となることとなりました。これを受け、現状での活用を探るべく再監査を実施いたしました。
 下段の右側の図を御覧ください。再監査を行う中で、近隣に所在する公共職業安定所の借受駐車場が所有者から退去要請を受けており、移転先の確保に苦慮していることを把握いたしました。関係者において調整を行った結果、25年度の指摘対象財産は公共職業安定所の借受駐車場の移転先として活用することとしました。これにより公共職業安定所に必要な駐車場を確保するとともに、借受料の節減も図られたものです。
 次に、7ページを御覧ください。監査指摘を行った財産の売却事例です。
 監査指摘の概要欄にございますとおり、平成26年度の監査において、京都市に所在する右京区検察庁は職員が非常駐であり、非効率な使用となっていました。これを解消すべく、近隣に所在する京都地方法務局嵯峨出張所の執務スペースのレイアウト変更等について調整を行い、移転に必要なスペースを捻出した上で、用途廃止を求めました。その後、監査指摘に沿った処理が行われ、令和3年7月に一般競争入札により1.2億円で売却したものです。
 資料1の御説明は以上です。御参考として、令和3年度に指摘した事案の一覧を配付させていただいております。
 私からの報告は以上です。
〔 小林分科会長 〕 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明について、委員の皆様からの御意見がございましたらお願いします。
〔 野城臨時委員 〕 御説明ありがとうございました。的確なタイムリーな監査をされているというふうに思いました。第1番目の津波の事例でございますけれども、こういった在り方がこの後のひな型になっていくことを期待するところであります。津波という被害は、先ほど御説明ございましたように国の省庁が把握しているところでございますけれども、御存じのように今、地球規模での気候が荒れてきて、非常に降水量が増えてきておりますので、ローカルな河川が氾濫するという危険も高まっております。同様に、水深はこんな高くなりませんけれども、立地によってはバックアップ電源を地下あるいは低層階に持っている地方の中核的な庁舎が川の氾濫等で機能停止をするというリスクもございます。理財局というよりは各地方の財務局のほうに、津波だけではなくて、河川などの氾濫、特に中小河川という国からなかなか見えづらいところも含めて、リスクを評価していくようにということは早め早めに手をつけたほうがいいのではないかと思う次第でございます。
〔 瀬川国有財産監査室長 〕 ありがとうございました。庁舎の災害による被害につきまして、今回は津波による被害でしたが、通常の監査をする際でも、例えばハザードマップの浸水地域の中にある庁舎を移転させられないかとか、そういった観点での監査も着眼点としては入れておりますので、引き続き地域のそういった災害の予測の情報を把握しながら進めていきたいと思っております。
〔 野城臨時委員 〕 ありがとうございます。土木の水害をやっている方々が、ハザードマップがだんだん見直しが必要だということを皆さん異口同音におっしゃっていますので、その点ぜひよろしくお願いしたいと思います。
〔 児玉臨時委員 〕 私も津波の対応の件なんですけれども、この北海道の件は、北海道が浸水想定域を発表したから対応できたということらしいんですけれども、都道府県によってはまだ出ていないところもかなりあるというふうな話を伺っていますけれども、それを待ってから対応というのではなくて、ある程度想定できるようなところは事前に準備をしていったほうがいいのではないかと思いました。
〔 瀬川国有財産監査室長 〕 御指摘ありがとうございます。浸水想定につきましては、5月10日現在の公表資料によると、海に面した県が40都道府県あるそうなのですが、そのうち39は済んでおります。ただ、浸水想定区域の中で基準水位というものを設定するのですが、それは建物に津波がぶつかったときにせり上がってくる高さも含めたもので、それがハザードマップというか、災害対策の根拠になるそうなのですが、まだ全部はできていないようでした。ただ、国交省の基準では、そういったものがなくても、庁舎の管理者が災害対応をすることも求めておりますので、財務局でもそういった情報を確認しながら、監査の着眼点の一つにしていければいいなと考えております。
〔 川口委員 〕 関連しまして、御案内のように経済産業省や環境省などでは企業に対して気候変動に伴う企業財務リスクへのインパクトを定量化して開示しなさいみたいな指導が行われています。民間企業にとっては小さくない負担かつ難しいと思うんですけれども、そういうことを求めている国の機関があります。本日の報告を聞いて、財務省では、財政へのインパクトという定量化まではうたってありませんが、TCFDに関わるようなことを率先して着々と積み上げられているという印象を持ちました。この点からも非常に良いことだというふうに感じました、フォローアップが順調に行われているとコメントします。
〔 瀬川国有財産監査室長 〕 ありがとうございました。
〔 小林分科会長 〕 そのほか、いかがですか。
 それでは、ほかに御意見ございませんようでしたら、ぜひフォローアップよろしくお願いします。
 次の議事に移ります。
 続きまして、第三者チェックの実施状況について、事務局から説明をお願いします。
〔 梅野国有財産審理室長 〕 国有財産審理室長の梅野と申します。どうぞよろしくお願いします。
 資料2の第三者チェックの実施状況という資料に沿って説明させていただきたいと思います。
 表紙をおめくりください。1ページでございます。まず制度概要について説明をいたします。平成30年1月の本分科会において取りまとめられました「公共随契を中心とする国有財産の管理処分手続き等の見直しについて」において方向性が示されたものでございます。具体的には、契約締結前に瑕疵が判明している場合は、地下埋設物の撤去費用等の見積もりは民間精通者に行ってもらう。また、地下埋設物などを原因とする価格の減価が大きい場合は、不動産鑑定士、弁護士などの外部の有識者による第三者チェックを行うこととし、更なる客観性の確保に務めるというふうにされまして、平成30年10月から運用を開始しているところでございます。
 具体的な事務フローにつきましては、資料の中ほどでございます。まず処分前というところにつきましては、土地の調査というものと鑑定評価の2段階で実施をしております。①の土地調査の段階につきましては、財務局において土地の利用履歴などを調査し、その結果、地下埋設物や土壌汚染が存在する蓋然性があるという場合につきましては、民間精通者に地下埋設物の調査を依頼します。そして、調査内容について有識者に確認いただいて、頂戴した御意見を踏まえて、場合によっては追加調査を実施するなどの対応をした上で調査結果を確定するということになります。
 右側のほうでございますが、②の鑑定評価の段階では、不動産鑑定士に鑑定評価を依頼する際に、先ほどの調査結果を交付いたします。そして鑑定評価書案、いわゆるドラフトの段階で提出をしていただきまして、改めて有識者に確認をいただきます。また、頂戴した意見を不動産鑑定士にお伝えし、これらの意見を参考にして鑑定評価を行っていただいております。
 資料の一番下でございます。処分後の場合でございますが、売却した後に契約時点で明示していなかった地下埋設物等が見つかって、損害賠償が請求された場合についても、その賠償額の適切性について有識者に御確認いただくという形になっております。
 それでは2ページ目をおめくりください。上の第三者チェックの対象財産につきましては、①対策費用の見積額が3,000万円以上の財産、おおむね①の要件がほとんどでございます。②として、概算評価額2,000万円以上かつ対策費用の見積額が概算評価額の50%以上の財産といった形で対象を定めております。
 下の有識者の選定でございます。こちらについては、地下埋設物や土地取引に関する専門的知見を有する者ということで、不動産鑑定士、コンサルタント又はその工事業者、弁護士の方を候補者として選定をしておりまして、事案の内容に応じて2名から3名の有識者に御参加いただいているところでございます。
 それでは、3ページ目をおめくりください。これまでの実施件数でございます。令和3年度については、右側の青枠でくくったところでございますが、土地調査が4件、鑑定評価が4件、合計8件ということになっております。この件数の推移につきましては、制度創設時には年間10件程度を見込んでいるということでございましたが、下の合計を見ていただきますと、令和元年以降、8件、9件、8件と推移しており、大体見込みどおりの水準になっています。
 それでは4ページ目をおめくりください。令和3年度の実施内容についての資料でございます。財産の所在地、あるいは実施理由、有識者の主な意見をまとめたものになります。1件1件の詳細な説明は割愛いたしますが、いずれも合理的という意見をいただいております。実際の第三者チェックの場におきましては、調査の資料だとか鑑定評価書についての財務局への確認、あるいは有識者同士でも結構活発な意見交換が行われておりまして、我々としても専門的知見を得るための有益な機会となっております。
 それでは、5ページ以降、3年度の実施状況のうち、土地調査と鑑定評価、両方を実施した2つの事例について御紹介させていただきたいと思います。
 5ページをお願いします。まず1つ目の事例は、東京都立川市の財産でございます。2ポツのところでございますが、地下埋設物等の調査の結果、地下埋設物及び土壌汚染の存在が確認され、対策費用の見積額が3,000万円以上であるということで、第三者チェックを実施したものでございます。旧立川飛行場跡地の一部ということでございます。
 それでは、6ページ目をおめくりください。地下埋設物等の状況でございますが、左上の調査結果の図のとおり、地下埋設物、青色の部分ですが、敷地内に点在をしているということ、それから北西部分、黄色の部分ですが、土壌汚染が存在しているということで、地下埋設物と土壌汚染が混在している土地でございます。
 右側の第三者チェック結果でございますが、いわゆる調査方法、範囲、調査結果に基づく対策費用の見積書の内容は合理的であるというような意見をいただいております。なお、土地の北西部について、樹木が密集しているところがありまして、そこについては地下埋設物調査範囲から除外をしているということでございますので、その旨を買主に適切に情報開示すべきという御意見をいただきました。この意見を踏まえまして、買主である立川市に説明の上、契約書に地下埋設物調査報告書を添付し、適切に情報開示をしているということでございます。
 ちなみに、この土地、下の参考にありますとおり、立川市に対して学校給食共同調理場として売払いをしております。
 次の7ページ目をお願いします。2つ目の事例は福岡県北九州市の事例でございます。こちらについては地下埋設物が存在をしており、その対策費用の見積額が3,000万円以上であるため、第三者チェックを実施したものでございます。
 次に、8ページ目をおめくりください。地下埋設物の状況については左上の調査結果の図のとおりでございまして、青色の部分について地下埋設物が確認されたということでございます。右側の第三者チェック結果でございますが、こちらも調査方法、範囲、調査結果に基づく対策費用見積書の内容は合理的という意見をいただいております。ちなみに、本地については埋蔵文化財試掘調査の結果、埋蔵文化財が存在していることが確認されたため、これは小倉城の遺構があるという場所でございますが、地下埋設物調査については、試掘による調査ではなくて、地中レーダー探査などによる調査を行ったということでございます。若干精度が落ちるというところがありますが、このような方法についても合理性があるという見解をいただいたという事案でございます。
 また、鑑定評価段階における第三者チェックについては、調査結果等が鑑定評価に適切に反映されており、控除されている撤去等費用額についても合理的との意見を頂戴しているところでございます。本件土地については、北九州市に対してイベント広場等に供する敷地として売払いをするという見込みになっております。
 資料の説明は以上でございますが、最後に、これまで平成30年10月から運用をしているということで、運用してみての所感というものを簡単に申し上げたいと思います。
 まさに第三者チェックを通じて撤去費用の見積りの信頼性が高まるといった効果はもちろんございます。一方で、かつて本分科会におきましては、それだけ売却に要する期間が長期化することで取引の適時性が失われる、あるいは事務作業の負担というところについての御意見をいただいておりました。
 まず取引の適時性という点につきましては、相手方の取得要望時期がどうかということを踏まえた形でスケジュールをまず組んでいるということ、あるいは調査報告書を早めに準備する、更には第三者チェックにおける有識者からの御意見、御質問に対して早めに対応するといった形で、できる限り期間の短縮に努めているところでございます。結果として、これまでやった案件について、平均をするとおおむね大体1カ月半ぐらいでできているということでございまして、制度設計上は、創設したときは大体2カ月以内にできるように努めるというふうに分科会で報告させていただいていますが、そういった形で期間短縮が図れているものと考えています。
 また、事務負担というところにつきましては、先ほど実施件数のほうで申し上げたとおり、当初10件程度を見込んでいたということに関して、8件、9件という形で、おおむね見込みどおりということでございますので、基準の設定に関しても特段問題はないということでございます。
 さらには、コロナ禍ということで、この第三者チェックについてはオンラインで実施しているところでございますが、結果的に紙ベースからいわゆる電子データという形に移行できておりますし、また、有識者の方々も含めて当然財務省にお越しいただく必要はございませんし、特に地方の財務局職員も上京する必要がありませんので、そういう点で開催の日程調整も非常に効率的にやっているということで、全体としても効率的な運用につながっていると考えております。
 以上でございます。
〔 小林分科会長 〕 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明に関しての御意見、御質問ございましたらお願いします。
〔 川口委員 〕 今の御報告について、当初の制度設計を変更しなければいけないような状況は、今のところは全くないという理解でよろしいでしょうか。
〔 梅野国有財産審理室長 〕 おっしゃるとおり、まさに当初の基準で見込んでいた件数にも収まっていますし、期間についてもきちんとやられているので、基準の見直し等についても特段問題ない、このまま運用を続けても問題ないというふうには評価しております。
〔 野城臨時委員 〕 非常に意義のあることだと思います。直接は数年前にあった事案に端を発しているとは思いますが、国土の利用を考えた場合、グリーンフィールド、ブラウンフィールドという考え方がございまして、要は土壌汚染やその他の懸念のあるところを使わずに、どんどん手つかずのグリーンフィールドを使っていくやり方はサステナブルではないということが世界的にも今、考え方が出てきています。御説明があったようにややこしいことにはなるんですが、既に人工改変された、こういったリスクは抱えているところであるけれども、ブラウンフィールドを使っていくということを基本と考えれば、これは単に国有地だけではなく、民間でも同様に考えていくべきでございますので、そういうブラウンフィールドを使っていくことで国土全体としてはサステナブルな土地利用をするという観点からみて意義があると思います。
 全てではございませんが、今日御説明にございましたように、土壌汚染というのは地歴を探っていくしかないと思います。それに対して、いわゆる土地や構造物の空洞ですね、これについては御説明ございましたように地中レーダーの技術が大変発達してきていて、道路の陥没や橋梁の欠陥を発見するためのレーダー技術が非常に発展してきております。今おっしゃった地中の構造物、埋設物については相当な精度で評価できるように、今後も技術のほうも進歩していくように思いますので、大変かとは思いますが、ぜひこれが今後、定常的なプロセスになっていくということを期待したいと思います。
〔 梅野国有財産審理室長 〕 御意見ありがとうございます。地中レーダー探査については、精度という点で確かに問題、課題があるということでありますが、ちなみに本件についてはレーダーのほか、既存の資料とともに磁気も当ててやったということで、複合的に調査をしたという形で、なるべく精度を高めようかというふうに取り組んだ事例でございます。
〔 野城臨時委員 〕 土を掘り返さなくてもいいという点では格段にコストが違いますので。
〔 梅野国有財産審理室長 〕
 そうですね。ありがとうございます。
〔 小林分科会長 〕 
ほか、いかがでしょうか。よろしゅうございますか。
 これは前も申し上げたんだけれども、民間の場合には往々にしてちゃんとやっているというか、要するにフェアな第三者評価というものが入らないと正常な取引ではないということでやっておりました。
日本においてはブラウンフィールドが多く、国の財産に関しても、今おっしゃいましたようにブラウンフィールドが非常に多いわけですね。また、グリーンフィールドの場合にはそれなりの施策があるわけですけれども、ブラウンフィールドの場合にはファクターが、一つはこういうフェアネスということと、もう一つは取引相手をよく見るということです。地歴調査以上に取引相手の人柄、経歴調査は必要であります。その辺も踏まえて、ひとつ両面で第三者チェックを今後もよろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。
 最後に、事務局から御連絡事項がございますので、お願いいたします。
〔 柴田国有財産企画課長 〕 
御議論ありがとうございました。本日の議題でございます監査の結果報告、あるいは第三者チェックの実施状況の報告につきましては、通常どおり記者レクの実施、あるいは会議資料の公表等を行ってまいりますので、よろしくお願いしたいと思っております。
 最後に、冒頭、副大臣の御挨拶にもございましたけれども、今回の会合が今事務年度では最後の開催ということで予定をしております。今事務年度は計4回、持ち回りも含めてでございますけれども、計4回の開催をさせていただきまして、大変お忙しい中、御対応いただきまして誠にありがとうございます。
 事務局は今後、人事異動が予定されておりますので、体制に異動が生じると思いますけれども、新体制となります来事務年度以降も引き続きよろしくお願いしたいと思います。どうも今日はありがとうございました。
〔 小林分科会長 〕 
ありがとうございました。それでは、今のお話のように、次回は次の事務年度ということになるんですか。
〔 柴田国有財産企画課長 〕 
今後調整をさせていただきたいと思います。
〔 小林分科会長 〕 
分かりました。
 それでは、これをもちまして財政制度等審議会第55回国有財産分科会を終了いたします。本日は御多用のところ、誠にありがとうございました。

午後4時09閉会