2022.06.29
# 香港 # 中国

いま香港の若者が、つぎつぎに「カフェやベーカリー」をひらいている「深い理由」

主権返還25周年、香港のいま

香港市民の「アイデンティティ」に変化が…

香港は7月1日、1997年の主権返還から25周年を迎える。返還の中国側立役者とされ、「祖国に戻った香港の地を踏みたい」と言いながら、その日を待たずに同年初めに世を去ったトウ小平が香港市民に約束した「50年不変」はどこへやら、今では香港市民の間から、「我われが馴染み親しんだ香港は消えてしまった」と嘆く声ばかりが聞こえてくる。

つい先日、この5月末から6月初めにかけて行われた「香港市民のアイデンティティ」に関する世論調査の結果が発表された。

それによると、回答者1000人が自身のアイデンティティとして選び、また最も評価が高かったのは「香港人」。その共感度と重要度は10点満点のうち7.77点だった。続いて「アジア人」「中華民族の一分子」「世界市民」「中国人」「中国人民共和国民」の順で並んでいる。このうち「中華人民共和国民」のランクは最低ながらも、市民がつけたポイントは6.14点で、2016年12月以降最高となった。一方でトップを守り続けている「香港人」は、2017年6月以降最低だった。

香港の返還25周年を祝うオブジェ〔PHOTO〕Gettyimages
 

これはつまり、少なくとも調査対象となった1000人の間では「香港人」であることの重要性が以前に比べて薄れ、一方で「中華人民共和国民」という重要性がじわじわ増していることを意味する。この調査の記者会見に立ち会った時事評論家の袁彌昌(デレク・ユン)氏は、この結果を「香港を離れる意思のある人はほぼ出ていってしまい、残った人たちが現状に不満を抱きながらも、心の調整期に入っている」と論評した。

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