カジノにハマった御曹司、大王製紙を追い出されても「440億円」をゲットしていた…井川意高の「熔ける 再び」(完)【話題沸騰】

バカラ放浪記(完)
大王製紙の御曹司・井川意高氏による「バカラ放浪記 第2章」とも呼ぶべき告白本の続編『熔ける 再び そして会社も失った』が発売された。集中連載の最終回は、大王製紙を追い出された井川氏が、いかにして会社内部で闘ったか、その大博打について真相が描かれる。
集中連載(第1回はこちらから/第2回はこちらから/第3回はこちらから

リアル「半沢直樹」 大王製紙内部の内ゲバ闘争

大王製紙元会長・井川意高氏の告白本『熔ける 再び』は、バクチやフェラーリの豪快武勇伝以外にも、グッと来る読みどころがある。一部上場企業の役員室で、こんな暗闘が繰り広げられているのか……。ドラマ「半沢直樹」ばりの下剋上の権力抗争が展開されたのだ。

ギャンブル問題が発覚すると、井川氏は大王製紙の社長職を辞任に追いこまれる。後釜の社長に就任したのは、井川家の血筋を引かない佐光正義氏(現・大王製紙会長)だ。大王製紙2代目社長の井川高雄氏(顧問=当時)と3代目の井川意高氏(会長=当時)、そして弟の井川高博氏(常務取締役=当時)は、佐光氏をはじめとする「大王製紙反体制派」から目の敵にされる。

〈父にだって、親子の情はある。刑事裁判中、できれば息子には実刑判決を食らってほしくないと願っていた。いざというとき担保に使えるように、父や弟や私が持っている関連会社の株式を、全部ボストンバッグに入れて大王製紙総務部の金庫に保管させた。「井川家として借金を支払う意思があることの表明だ」と言って、時価100億円相当の担保を大王製紙側に預けておいたのだ。

井川意高氏井川意高氏

「佐光は逆臣だ」ということがはっきりわかった時点で、父は弟に「あのボストンバッグを取り返してこい!」と命じた。弟が大王製紙の常務取締役から外れたのは、2012年6月のことだ。当時はまだ大王製紙の役員だった。弟が総務部長に「ちょっと金庫のカギを持ってきて」と言ったところ、報告した者がいたらしい。佐光がすっ飛んできた。

「井川常務、何やってるんですか」

 

「何をやっているって、井川家のものをここに預けておいたのを、取りにきただけだ。ほれ、受領書もここに持ってきてある」

そう言ってボストンバッグを取り返そうとしたら、揉み合いになって弟はケガをした。(略)佐光による傷害事件であり、100億円の強盗致傷事件だ。〉
『熔ける 再び』150〜151ページ)

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