Nスペ「半グレ」に出演した「テポドン」はこうして生まれた…原付バイクにラリアートをかけていたあの頃 伝説のアウトロー「テポドン」の人生(3)【短期集中連載】
「テポドン」の人生(3)NHKスペシャル「半グレ 反社会勢力の実像」(2019年7月27日放送)に出演した吉満勇介氏の人生は、番組出演で大きく変わった。「勇介」名義で出版した告白本『テポドン 大阪ミナミの「夜」の歴史を変えた暴れん坊』(講談社)が話題だ。なぜ彼はテポドンと呼ばれ、「半グレ」の代表格と見なされるようになったのか? 短期集中連載の第3回では、「テポドン」の誕生が描かれる。
駅のホームでブレーンバスター
「勇介君が酔うたらミナミにテポドンが落ちますね」
大阪ミナミの繁華街で、いつしか勇介氏は「テポドン」と恐れられるようになった。現役のヤクザがひしめく夜の街で、彼がいきなり「テポドン」の名をほしいままにできるわけがない。
このほど出版した告白本『テポドン』には、中卒の勇介氏が不良の世界で成り上がっていく過程が生き生きと描かれている。ヤンキーマンガ「東京卍リベンジャーズ」や「今日から俺は!!」「クローズ」の世界観を地で行く激しさだ。
〈中学時代から一緒に遊んでいた港区の先輩にそう言われ、天王寺の駅前へ行ったのがはじめての集会参加でした。チームのボスは「キング」と呼ばれる先輩で、僕よりも一つ上の人でした。そのときの集会には僕の他に五人ほどがはじめて参加していましたが、帰り際になると先輩が皆を並べて「どうや、入る気になった?」と聞いて回りはじめました。
「すみません。入りません」
「僕も入りません」
一人目、二人目がそう答えた瞬間、先輩は怒るわけでもなく、ニヤニヤ笑いながら順番に二人を持ち上げて駅のホームにブレーンバスターをかけました。
それも無言で。
(略)
目の前で同世代の男二人が地面に叩きつけられたのです。そんな光景を目の当たりにすれば「これは絶対に入らなければいけない」と腹を決めるしかありません。
「入る?」
「……入ります」
答えは決まっています。〉(『テポドン』44〜45ページ)
こうして10代だったころの勇介氏は、有無を言わさず「カラーギャング」と呼ばれる愚連隊に加入することになった。