ちょっと短めのおみ足にまるいボディ。唯一無二のフォルムを持つ、神戸市立王子動物園のメスのジャイアントパンダ「タンタン(旦旦)」。そのかわいい姿と優雅な所作から、親しみを込めて、“神戸のお嬢様”とも呼ばれています。
愛くるしいタンタンですが、実は現在26歳。人間で言うとおよそ70歳代という高齢パンダ。そして、中国への返還が決まっています。神戸で最後の時間を過ごす、お嬢様の様子を、動物園の休園日である水曜日にお届け。
今回は前編、後編の2本立てでお送りします。
中国からの応援
タンタンの治療に日中双方が協力して取り組むため、中国ジャイアントパンダ保護研究センターから2名の専門家が来日しました。気になるおふたり。一体どのような方々なのでしょうか。神戸市立王子動物園の担当者にうかがいました。
来日されたのは、獣医師の成 彦曦(せい えんし)さんと、飼育員の王 平峰(おう へいほう)さん。おふたりとも40歳代の男性です。「中国ではジャイアントパンダの幼齢から高齢までの様々な個体について、飼育や繁殖、野生の傷病個体の救護、繁殖個体の野生復帰のほか、海外の動物園の指導や研究などにもあたっています」と、同園の担当者。
獣医師である成さんは主に健康管理、飼育員の王さんは主に飼育管理を担当していますが、中国にいた頃のタンタンと、面識はあったのでしょうか。
「タンタンが日本に来たのは、おふたりがパンダにたずさわる以前ですので、おふたりとは今回が初対面となりますね」(同園担当者)
おふたりは2022年5月11日に来園し、8月初旬まで滞在予定。滞在中には中国での知見を活かし、タンタンの日々の病状把握や、治療に関するアドバイスを行います。「タンタンの体調が改善するように、日中双方で協力して治療を行っており、さらに、生活の質がよくなるようにも努めています」(同園担当者)とのことです。