2022.06.29
# ビジネス

35歳の中途社員が絶句…「たった3万円のボーナス」よりもショックだった「転職先の危ないウワサ」

ボーナス払いを含む高額なローンを組んで、新築マンションを購入。ところが、あてにしていた転職先の夏のボーナスが、たったの「3万円」だった……。

笑えない話だが、こんな事態に遭遇したのが今年2月乙社の営業部に転職した、A間さん(35歳・男性、仮名=以下同)。B中総務部長(以下、「B中部長」)からは、「査定期間途中の転職だったこと」「冬のボーナスも会社の業績が悪化している影響で、若干低くなりそうだということ」などを聞かされ、愕然とするばかり。

そもそも会社には、従業員にボーナスを払う義務はあるのか? ボーナスをもらい損ねないために、私たちが注意すべきことは? 社会保険労務士の木村政美氏が、事例とともに解説する。

意外と知らないボーナスの定義

A間さんのその後も気になるところですが、まずはボーナスについての基本的な知識を押さえましょう。

・賞与とは

賞与(ボーナス)は、企業が従業員に支払う給与とは別に、企業の利益を還元するために支払う一時金のことであり、健康保険法第3条第6項によると、

「『賞与』とは、賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が、労働の対償として受けるすべてのもののうち、三月を超える期間ごとに受けるもの」

と定義されている。

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・賞与支給の現状と日本と諸外国に見る賞与制度の違い

日本の企業の場合、賞与は賃金の一部として考えられており、年収に対して賞与が占める割合が高いこと(一般的には年収の15%から30%程度)が特徴である。賞与は夏と年末の年2回支給することが多く、令和2年の夏季賞与は約65%、年末賞与は約70%の企業が支給している。

(参考:厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和3年2月分結果速報等」「令和2年夏季賞与」)

上記の背景から、賞与の支給時期に合わせて高額の買い物やレジャーなどの消費をしたり、A間さんのようにボーナス払いが利用可能な住宅ローンなどを組むケースが多い。従って賞与は従業員に根付いている制度と言える。

また昨今、大手企業やベンチャー企業などでは年俸制を導入するところが増えたが、年俸を12等分するのではなく例えば15等分などとし、12等分以上に案分した分を賞与として支給していることも多い。

海外でもボーナス制度がある国や企業はあるが、一般的には支給は年1回で、金額は寸志程度から多くても給料の約1か月分である。またアメリカのように企業の業績向上に貢献した一部の従業員だけに報奨金として支給するケースもある。どちらにしても日本と違い生活給としての役割はほとんど担っていないと考えられる。

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