薬師丸ひろ子の映画デビュー作『野性の証明』の秘話を一挙公開!
薬師丸ひろ子は「天才」です高倉健が主演を務めた映画『野性の証明』は、女優・薬師丸ひろ子の映画デビュー作でもあった。
知られざる彼女のデビュー前の秘話とは?前編『高倉健と角川春樹が邂逅した名作『野性の証明』の裏話を語りつくす!』に続けて、本作に出演した中野良子氏、プロデューサーの遠藤雅也氏、評論家の中川右介氏による白熱の鼎談の模様をお届けする。
精鋭の中で花開いた精鋭
中川 後半の味沢と自衛隊の戦闘シーンは、アメリカでロケをおこないました。このスケールも規格外です。何しろ実物の戦車やヘリコプターまで使って撮影している。
遠藤 特殊工作隊の隊員も単なるエキストラではなく、厳しいオーディションを経た精鋭揃い。スタッフの間では「野性軍団」と呼ばれ、撮影前には習志野の自衛隊に体験入隊させるなど訓練を重ねた。その甲斐があって彼らのアクションには、芝居を超えたリアリティーが出たんです。
中川 特にトロッコによる逃走劇や、ヘリコプターに乗る松方弘樹と健さんの銃撃戦は見応え充分です。何より頼子を演じた薬師丸ひろ子が新人とは思えない存在感を見せたのが印象的でした。
遠藤 頼子役の公開オーディションには1200人以上の応募がありました。児童劇団に所属する該当年齢の女の子はほぼすべて応募してきたという感じだった。結果的にその中から選ばれたのが、薬師丸です。
中川 薬師丸は演技の経験はまったくなかったのですが、角川さんは「瞳の輝きがいい」という理由から彼女を抜擢したのですよね。
遠藤 そうそう。ところが、佐藤監督は別の子を推そうとしたんだよね。寒村で暮らす娘で、親が殺されるのを目撃したショックから予知能力が表れるという設定には、その子の方が相応しかったというのが理由です。
演技が未経験の薬師丸では難しいと思ったのか、佐藤監督は、薬師丸が頼子役になるなら監督を降りるとも言っていた。
中野 えっ、そこまで言っていたんですか!