医師たちの告白…オミクロン株激増で医療現場にかかる「重すぎる圧力」

病床率は100%になる可能性も

新年早々から始まった、かつてないスピードの感染拡大に打つ手はなかった。オミクロン株の猛威はすでに医療現場を呑み込んでいる。前編記事「医師たちの告白…ここにきて「医療崩壊」のカウントダウンはすでに始まっている」に引き続き、医療従事者が直面する、医療現場の混乱をレポートする。

重症者数が把握できない

検査後、陽性となった患者のフォローを行う保健所もとっくに限界を超えている。

沖縄県保健医療部の医療技監・糸数公氏がこう言う。

「ある保健所では、通常、1日30人しか対応できないのに、1日600人の陽性報告が続くなど、非常事態です。

たくさんの軽症者のなかから、重症化しそうなハイリスクの方を早く見つけて治療に結びつけるのが保健所の役目ですが、これだけの人数になってしまうと、担当者の負担が増え、最初の電話をかけるだけで精一杯になってしまいます」

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各地の保健所がパンクしている以上、オミクロン株による第6波の重症患者数など、正確な感染状況は誰も把握できていないと言っていい。埼玉医科大学総合医療センター総合診療内科教授の岡秀昭氏が言う。

「デルタ株のときには感染者数よりも重症者数や病床使用率を注視して、まん延防止等重点措置や緊急事態宣言を出すなどの対策が講じられてきました。ところが、オミクロン株になって状況は大きく変わってしまった。

その実態が見えにくいので、単に重症者数といった指標だけでは医療現場の逼迫具合を探れないということになってきます」

手探りの状態のなかにあっても、行政としては、病院の満床が相次いだ第5波のときと、同じ轍を踏むわけにはいかない。とにかく病床数を十分に確保するよう、各自治体は病院に圧力をかけている。

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