局内がザワついた
「流れを作ろうとした人がいたんじゃないですかね」「悔しいというより、ひどすぎると思います」
無念そうに語る菅義偉前総理が大写しになる。緊迫したBGMが流れ、ナレーションが被さる。
〈新型コロナとの苦闘を続けた、菅義偉!〉
1月16日に放送されたNHKスペシャル『永田町・権力の興亡』が、局内で激論を招いている。
番組では菅氏をはじめ、自民党重鎮の独占インタビューがこれでもかと流れ、視聴者の度肝を抜いた。安倍晋三、麻生太郎、岸田文雄、二階俊博(役職・敬称は割愛)……。NHKだからこそできた、豪華なドキュメンタリーだ。
だが、報道局内では番組の「トーン」に違和感を抱く者が続出した。
「全体的に『コロナ対策でベストを尽くした菅氏だったが、感染拡大を食い止められず、加えて麻生氏ら政敵の謀略もあり、退陣を余儀なくされた』というストーリーでした。ちょっと『菅ヨイショ』が過ぎるのではないか」(報道局関係者)