「事故物件」というワードを聞いたことがないという人は、いまでは少数派だろう。かつては不動産関係者やオカルト好きの間でしか知られていなかった用語だが、ここ近年ネットやテレビでも頻繁に見聞きするようになった。
「事故物件」とは、過去に自殺や殺人事件、事故死、火災などが起こった物件のことで、いわく付きの物件として格安で取引されることが多い。多死社会が近づく日本では高齢者の孤独死が増えており、さらに在宅医療の広がりとともに、住み慣れた家で最期を迎えることを選択する人も多い。不動産売買を専門に行なう業者にとって、事故物件はさほど珍しい存在ではない。
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物件を買ったり借りたりする消費者サイドも、「相場よりお得」という理由で、事故物件であることをさほど気にしない人もいるほどである。しかしその一方で、自分が住む家の来歴に関心が高い人、あるいは何かしらの「実害」に見舞われてしまう人もいるだろう。今回は、事故物件と知らずに一軒家を購入してしまった夫婦から貴重な体験談を聞くことができたので、ご紹介したい。
フルリノベのおしゃれな物件に一目惚れ
佐々木義孝さんとみどりさん(仮名)は、ともに43歳の夫婦だ。高校の同級生だったふたりは17歳で交際をスタートさせ、24歳のときに結婚した。義孝さんは大学病院に勤める放射線技師で、副技師長として総勢20名のチームを率いている。みどりさんは自宅からほど近くにある、フラワーショップを併設したカフェでアルバイトをしている。