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関税・外国為替等審議会 関税分科会 (令和3年12月9日開催) 議事録

  1. 開会
  2. 令和4年度における関税率及び関税制度の改正等
  3. 閉会

出席者
関税分科会長 森田 朗 財務省 阪田関税局長
委員 伊藤 恵子 小宮審議官
片山 銘人 中澤総務課長
河野 真理子 河西関税課長
木村 福成 加藤参事官
古城 佳子 米山監視課長
坂元 龍三 小多業務課長
佐藤 英明 松田調査課長
清水 順子 荒巻税関調査室長
杉山 晶子 鈴木事務管理室長
高橋 裕子 井田経済連携室長
高山 一郎 近田原産地規則室長
田村 善之 松田特殊関税調査室長
根本 敏則 石川知的財産調査室長
専門委員 阿部 克則 上野関税地域協力室長
国松 麻季 内閣府 武藤政策統括官(沖縄政策担当)企画担当企画官
佐々木 伸彦 農林水産省 尾﨑輸出・国際局国際経済課長
末冨 純子 水野農産局地域作物課長
藤岡 博 経済産業省 石川通商政策局通商機構部通商交渉調整官
宮島 香澄 特許庁 阪本総務部総務課制度審議室室長補佐
村上 秀徳 原総務部国際協力課課長補佐

 

午前10時00分開会

森田分科会長 皆様、おはようございます。時間も参りましたので、ただいまから関税・外国為替等審議会関税分科会を開催いたします。

 委員の皆様方には、御多用中のところ御出席を頂きまして、誠にありがとうございます。

 それでは、本日の議事に入らせていただきたいと思います。

 本日の議題は、お手元にお配りしております議事次第のとおり、これまでの御審議の内容を踏まえ、令和4年度における関税率及び関税制度の改正等に係る答申案につきまして、御意見を頂きたいと存じます。

 令和4年度における関税率及び関税制度の改正等に関しましては、本年10月以降、本日も含めまして4回にわたり本分科会を開催してまいりました。その間、委員の皆様に御審議を頂いてきたところでございますが、御審議頂いた内容を取りまとめたものが本日事務局より御説明いたします答申案でございます。

 それでは、まず事務局から答申案について説明を受けたいと思います。その後で答申案について御意見などを承りたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、関税課長、よろしくお願いします。

河西関税課長 関税課長の河西でございます。

 それでは、答申案の内容について御説明をさせていただきます。お手元の資料1が答申案の内容をまとめた資料となっておりますので、こちらの資料を基に、ポイントについて御説明をさせていただきます。

 それでは、おめくりいただきまして1ページ目を御覧ください。今回の答申案の構成でございますけれども、例年の答申に沿って、大きく3つの柱を建ててまとめさせていただいております。1つ目は令和4年度関税改正を巡る諸情勢、2つ目は令和4年度関税改正についての考え方、3つ目は引き続き検討すべき事項でございます。

 次に、2ページ目でございますけれども、Ⅰ、令和4年度関税改正を巡る諸情勢といたしまして、大きく3つ、具体的には税関を取り巻く環境の変化への対応、業務の一層の高度化・効率化の推進、そして経済連携協定等に係る取組みということで、3つの観点から整理をさせていただいております。

 最初に、税関を取り巻く環境の変化への対応といたしまして、「デジタル化の急速な進展やサプライチェーンの見直しの動きなど、税関を取り巻く環境はダイナミックに変わりつつある」とした上で、「新型コロナウイルス感染症によって加速化したこうした環境変化に的確に対応し、適切な関税率の設定・関税制度の整備等を行うとともに、税関の使命を着実に果たしていく必要がある」とさせていただいております。

 次に、業務の一層の高度化・効率化の推進として、「コロナ禍における個人の越境電子商取引(EC)の利用もあり、航空貨物の輸入件数が大幅に増加している」とともに、「今後新型コロナウイルス感染症が収束に向かった場合には、水際対策が緩和されるなど、国境を越えたヒトの移動の再開が本格化することが予想される」とした上で、「こうした中、迅速な通関を確保する必要がある一方、テロ対策や覚醒剤等の密輸防止の観点から引き続き厳格な水際取締りが求められている」、「今後も、引き続き、世界税関機構や国内外の関係機関・関係事業者等との連携も行いつつ、税関の体制の整備・充実や先端技術を活用した取締・検査機器の適正配備、事前情報等の活用など、業務の一層の高度化・効率化を進めていくことが重要である」とさせていただいております。

 なお、パワーポイントの資料では掲載をしておりませんが、分科会答申本文におきまして委員の先生から頂戴した御示唆を踏まえまして、「東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に当たっては、大会関係物品の円滑な通関及びテロ関連物資等の密輸阻止の取組を実施するなど、大会が無事に終了を迎えたことに貢献した」ことについても触れさせていただいております。

 さらに、経済連携協定等に係る取組みとして、TPP11協定における英国の加入手続やRCEP協定の来年1月1日の発効といった進展を踏まえ、「貿易関係者への説明を積極的に実施するなど一層の利用促進に取り組むことが重要であるとともに、これらの協定を前提とした関税政策の検討や関税制度・執行体制の整備を引き続き進めていくことが重要である」とさせていただいております。

 次に、3ページ目でございます。Ⅱ、令和4年度関税改正についての考え方といたしまして、まず暫定税率等の適用期限の延長等につきましては、1点目として、令和4年度3月31日に適用期限が到来する412品目について期限を1年延長すること、2点目として、たまねぎの暫定税率についてはRCEP協定を含むたまねぎに係る国際交渉の状況等を踏まえて基本税率に移行すること、3点目として、合成洗剤の原料の基となるノルマルパラフィンの暫定税率につきましては、国内における供給が過剰となっていることから廃止すること、がそれぞれ適当であるとさせていただいております。

 また、特別緊急関税制度につきましても、国際交渉の状況等を踏まえ、1年延長することが適当であるとさせていただいております。

 4ページ目でございますけれども、加糖調製品につきましては、加糖調製品6品目について調整金の拡大が可能となるよう、令和4年度のTPP11税率の設定状況等を踏まえ、暫定税率を引き下げることが適当であるとさせていただいた上で、「※」にございますように、「加糖調製品に係る暫定税率の検討に当たっては、毎年度、加糖調製品と国産の砂糖の価格差及び需給の動向、国内産糖に係る競争力強化の取組状況、暫定税率の引下げによる政策効果等について、農林水産省に検証を求めることが適当である」とするとともに、「さらに、加糖調製品と国内の砂糖に関する今後の中長期的な在り方及びその実現に向けた具体的取組についても、消費者の視点も踏まえつつ、農林水産省においてフォローアップの上、毎年度、同省に報告を求めることが適当である」とさせていただいております。

 次に、5ページでございますが、2.個別品目の関税率の見直しといたしまして、繊維製品、具体的には女子用のブラウス等(綿製)に関しまして、ししゅう等をしたものとその他のもので税細分が分かれており、異なる関税率が適用されていることにつきまして、輸入者の貿易手続上の事務負担の軽減等の観点から、税細分を統合し、統合前の税細分のうち低い水準である関税率を適用することが適当であるとさせていただいております。

 続いて、6ページでございますけれども、沖縄に係る関税制度上の特例措置につきましては、特定免税店制度につきまして、2年間延長することが適当であるとするとともに、観光旅客の利便性向上を図る観点から、インターネットでの免税品の事前購入を可能とすることが適当であるとさせていただいております。

 続きまして、7ページでございますけれども、同じく沖縄に係る関税制度上の特例措置といたしまして、選択課税制度及び許可手数料の軽減につきましては、物流地域の税制上の特例措置の一環であること等を踏まえまして、3年間の延長が適当であるとともに、物流地域の一部が拡大される場合には、物流地域のさらなる産業集積を図るため、選択課税制度及び許可手数料の軽減の適用を当該拡大された物流地域においても認めることが適当であるとさせていただいております。

 続きまして、8ページでございますけれども、海外の事業者を仕出人とする模倣品の水際取締りの強化についてでございます。こちらにつきましては、越境電子商取引の進展に伴いまして、海外事業者と日本の国内の事業性のない者、いわゆる個人との直接取引による模倣品の輸入が増加しておりますところ、本年5月に成立・公布された改正商標法及び意匠法の施行に合わせる形で、まず1点目といたしまして、海外の事業者が日本国内の事業性のない者に向けて郵送等で持ち込む模倣品について、関税法の輸入してはならない貨物として規定をすること、2点目といたしまして、事業性のない者について商標法での整理に合わせる形で罰則の対象とはしないこと、3点目といたしまして、認定手続一般について税関長が輸入者に対して書類の提出を求めることができるよう規定を整備することについて、それぞれ適当であるとさせていただいております。

 続きまして、9ページでございます。改正項目の一番最後といたしまして、貨物運搬用の反復使用される容器、いわゆる通い容器につきまして、免税手続に係る簡素化措置の拡大等の対応を行うことが適当であるとさせていただいております。

 10ページでございますけれども、Ⅲ、引き続き検討すべき事項といたしまして、第2回の分科会におきましてスマート税関構想の進捗状況及びスマート税関構想公表以降の足元の新たな環境変化について事務局よりプレゼンをさせていただきましたが、まず、「税関を取り巻く環境は、これまでのモノ・ヒト・カネの流れの趨勢的な拡大に加え、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化、ECプラットフォーム事業者が提供するサービスの利用拡大を含む越境電子商取引の拡大による輸入貨物の急増、そして経済連携協定等のさらなる進展等によるサプライチェーンの変化の加速、民間部門のDX(デジタルトランスフォーメーション)を含む経済社会全体のデジタル化の急速な進展、そして経済安全保障上の脅威への対処を含む新たなニーズの出現など、内外のダイナミックな構造変化の流れを受けて、現在大きく変化をしている」とさせていただいた上で、こうした認識のもとで、「税関を取り巻く環境が今後も構造的に大きく変化し続けることが予想される中、更に多様化・複雑化する税関業務への対応として、必要な制度改正等について速やかに検討する必要がある」とさせていただいております。

 私からは以上でございます。

森田分科会長 御説明、ありがとうございました。

 これまでの委員の皆様の意見をまとめた形で事務局に答申案を整理していただいたものでございますけれども、ただいま説明のありました答申案につきまして、御意見などございましたら御発言をお願いいたします。いかがでしょうか。

 特に御発言はございませんでしょうか。会場もよろしいでしょうか。

 ありがとうございました。特に御意見がないようでございますので、御異議なしとさせていただきます。

 それでは、令和4年度における関税率及び関税制度の改正等につきましては、本分科会として答申案どおり決定することといたしまして、これをもって関税・外国為替等審議会としての答申といたしたいと存じます。

 なお、答申の提出のタイミングにつきましては、諸般の情勢から私に御一任を頂きたいと思っております。事務局と調整の上、財務大臣に提出させていただくこととさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、これにて本年の関税分科会における令和4年度関税改正等の議論が一通り終了したこととなります。

 これまで御審議いただきました委員の皆様方の御支援、御協力に感謝いたしますとともに、重ねて御礼を申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。

 それでは、以上をもちまして本日の議事を終了したいと存じますが、この答申は別といたしまして、最後に何か御意見ございましたら御発言をお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

 ないようでございますので、それでは、これで本日の議事を終了させていただきたいと思います。

 なお、会議を終了するに当たりまして、事務局から連絡事項がございますので、関税課長、お願いいたします。

河西関税課長 ありがとうございます。本日、席上に配付させていただきました資料につきましては、今分科会長からも御紹介がありましたように、答申の最終的な提出・公表がまだでございますことから、会議後回収をさせていただければと存じますので、恐れ入りますが、御退席いただく際には席上に残していただけますよう、よろしくお願いいたします。

 以上でございます。

森田分科会長 ありがとうございました。

 これまで御審議いただきました委員の皆様方の御支援、御協力に重ねて感謝いたしますとともに、御礼を申し上げたいと思います。どうもありがとうございました。

 それでは、今年度の会議は終了でございます。

午前10時13分閉会