続・世田谷モデルも12月で終了

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小中学校で無症状の児童生徒に抗原定性検査を実施中の世田谷区。もちろん、保坂区長の発案である。修学旅行などの宿泊行事と、部活の大会などの1日前に検査するというのだが、まったくもって噴飯ものである。決算特別委員会で質した(動画はコチラ)。

学校でのこの検査について、文科省は「PCR検査を受けられない有症状者への緊急措置として使用する」と通知している。これに特段の異論はない。日本医師会の中川会長も「抗原検査は陰性証明にはならない。あくまで有症状者でPCR検査を受けられない人に限って使うべき」と述べている。それにも関わらず、世田谷区はこういった常識に逆行した使い方をしている。

私は一貫して、無症状者に対して、1ヵ月に1回しか行わない検査である「世田谷モデル」を批判してきた。実施するなら短期間で検査頻度を上げるよう提案もしてきた。しかし、一向に改善されず、何ら目ぼしい成果を出すこともなく、5億4200万円もの血税をムダにしてこの定期検査は9月で終了。さらに、スクリーニング検査も12月で停止である。この失敗に懲りず、保坂区長は福祉施設から学校にステージを移し、「続・世田谷モデル」を実行中なのである。

私の質問で明らかになった、「続・世田谷モデル」の実施状況(10月11日現在)は、宿泊行事前が小学校24校、中学校1校で約3100名。部活の大会参加前が中学校24校で約3100名。合計約6200名である。その結果、陽性者は0名だった。この検査に1億2200万円が投じられている。

仮に陽性者が出た場合、何人以上ならば行事が中止で、大会に参加できないか、などの基準は曖昧であり、学校ごとで判断がバラつく恐れがある。それに、陽性となった子どもがクラス全体に負い目を感じ、悩み苦しむことも考えられる(事実、今夏のインターハイでは起こった)。他にも教職員のさらなる負担につながるなど、こういった数々の問題を区長が真剣に考えているとは、まったく思えないのである。

科学的に安全・安心の根拠にならない、と多くの専門家が指摘しているのに、なぜこの種の無症状者への検査に血税を浪費し続けるのか。答えはただ1つ。保坂区長の執着、こだわりに過ぎない。

しかしながら、我々の会派(無所属・世田谷行革110番・維新)の厳しい指摘の甲斐あってか、この「続・世田谷モデル」も今年12月で終了なのである。いやはや、大山鳴動して鼠一匹も出てこないこの有様を区民はどう見ているのか。私は追及の手を緩めない。