2021.10.16

【数学間違い探し】「2割引」をさらに「3割引」したら「5割引」になる?

考える力が身につく数学間違い探し

本年1月から開始した月1回の「数学間違い探し」の連載は幅広い読者から読まれているようで、心から感謝の意を表す。

第1回第2回でも連載の背景や狙い詳しく述べているが、筆者の長年に渡る教育経験から悟ったことの一つに、算数・数学にある「間違い」を見付けるためには、暗記だけの学びはあまり役に立たない一方で、理解の学びが役に立つということがある。この「算数・数学の間違い探し」を通して背景にある「理解の学び」の重要性を少しでも学んでいただければ、筆者として嬉しく思う次第である。

毎回、初級、中級、上級の3題の「間違い探し」問題を順に出題するが、算数・数学として難しい問題を出題するものではなく、あくまでも間違い易い問題を出題する。

『中学生から大人まで楽しめる 算数・数学間違い探し』(講談社+α新書)

初級問題

【問1】あるスーパーでは、毎月の1日は魚貝類の特売日となっていて、通常価格の2割引きで販売している。もちろん毎月の1日には、通常価格の2割引きの表示価格が魚貝類全品のラベルに付いている。

その特売日の閉店1時間前にお菓子を買ったA君が帰ろうとするとき、店内放送で「ただいまから魚貝類に関してのみ、レジにて表示価格の3割引き、レジにて表示価格の3割引きで、閉店特別セールをします」という発表が流れた。

それを聞いたA君は、ポケットの中を確かめたところ、ちょうど所持金として500円玉1個が残っていることが分かり、次のことを思ったのである。

「家の父ちゃん、ビールと一緒に刺身盛合せセットを食べるのが大好きなんだ。いつも算数の宿題を手伝ってくれる父ちゃんに、この際、通常価格1000円の刺身盛合せセットを買っていってあげよう。特売日として2割を引いて、閉店特別サービスとして3割引いて、合わせて5割引くよね。だから、通常価格1000円の刺身盛合せセットは、ボクの所持金500円でちょうど買えるじゃん

そしてA君は、通常価格1000円の刺身盛合せセットをレジに持っていって、「はい、これください」と言って、レジを担当していた店長さんに500円玉を渡した。

すると店長さんは、「ぼくね、本当は、500円でこの商品は買えないんだよ。それしか持っていないの?」とA君に伝えた。A君は意味が分からなかったものの、「ぼくのポケットにはそれしかないです。父ちゃんの好物の刺身盛合せセットを買っていってあげたいんです」と答えた。

すると店長さんは、「算数も大切だけど、優しい心はもっと大切だな。よし、この台の上に500円玉を置いて、この商品をお父ちゃんに持っていって」とニコニコ顔で伝えて、商品をA君に渡したのであった。

価格に関するA君の考えが正しければ「正しい」と答え、間違っていればその訳を説明しなさい。