2021.10.16
# 政治

石破氏にあって安倍・菅氏に欠けていた、政治家として「決定的な要素」

政治家とメディアの「適度な距離」とは
2017年ごろから菅義偉官房長官と記者会見で対峙し、SNS上で注目を集めた東京新聞の望月衣塑子記者。一方で、当時の安倍政権に“すり寄っていく”ような一部メディアに対しては、違和感を覚えていたという。政治家とメディアは、どのような距離感で付き合うべきなのだろうか? 同氏の新刊『報道現場』から、一部編集のうえで紹介する。
 

健全化するネットの言論空間

私は新著『報道現場』で、意図的に見えるフェイク情報の拡散について考察した。日本学術会議の任命拒否問題のときにあった、さまざまなフェイク情報のことだ。そうした動きについては引き続き目を光らせていきたいが、個々人に対する誹謗中傷については、かつてに比べれば少し改善してきたように思う。

私がネット空間で激しい誹謗中傷を受けるようになったのは、2017年6月、菅官房長官の定例会見で質問をし始めて以降だ。一部のメディアで何度もネガティブなタイトルや文言とともに取り上げられた。

質問の仕方や言葉遣いなどを取り上げて記事にする。私への揶揄(やゆ)、というか中傷記事はアクセス数を稼げていたのか、エスカレートする一方だった。ネット空間では「反日左翼活動家」や「北朝鮮のスパイ」などと言われていたようだ。

私自身は、ツイッターはするが、リプライのコメント欄はほとんど見ない。ネットで自分を検索することもないので、荒れていることは周囲からいろいろと聞いて知るのだが、それでも会社の代表番号に殺害の予告電話がかかってきたときは信じられない思いだった。17年9月のことだ。ネット空間でうずまいていた憎悪が現実社会ににじみ出てきたようで、暗澹(あんたん)たる思いだった。

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