日本経済は「マイナス成長が常態化するかもしれない」3つのリスクに直面している
経済への底入れは急務主要国から取り残される…
3つのリスクが現実味を帯び始めた――。
まず、先週末(5月7日)。新型コロナウイルス感染症に対する3度目の緊急事態宣言がちぐはぐな形で拡大・延長されることが決まり、経済的苦境の長期化が避けられない見通しとなった。
今後のワクチン接種動向に左右されるものの、中国や英国、米国ですでにコロナ後に向けた本格的な経済復興が始まったのとは対照的に、日本経済の底入れは来年以降にずれ込み、主要国の中で大きく取り残されることになりそうだ。
第2に、この日本の停滞はここ1、2年の問題で終わらず、長く尾を引くことになるだろう。特に、数年先には、コロナ対策で膨らんだ財政赤字の後始末でも諸外国に後れをとることが確実で、円相場の急落を回避するために極度の緊縮財政や大型増税を強いられるリスクがある。
最後に、日本経済の苦境に追い打ちをかけるのが、先の菅総理の訪米で明らかになった米中両大国の対立激化の狭間で、日本には米国との同盟強化以外の方策が残されていない問題だ。この問題は、結果として、中国という最大の輸出先を失うリスクに直結している。
緊急事態宣言の延長後に巡って来る、この3つの苦難は、バブル経済の崩壊以来、停滞から抜け出せない日本経済にとどめを刺す原因にもなりかねない。今後はマイナス成長が常態化して、衰退の道を辿る懸念が現実味を増しているのだ。
衰退の痛みを和らげるための施策は、待ったなしだ。気候変動対策の加速により投資を促して経済を刺激するとか、劣化し続ける生産性を向上させるためデジタル・トランスフォーメーション(DX)に真摯に取り組むといった努力が求められている。
国民は、菅内閣が先週金曜日(5月7日)に打ち出した新型コロナ対策をどう受け止めているのか。