"サイエンス365days" は、あの科学者が生まれた、あの現象が発見された、など科学に関する歴史的な出来事を紹介するコーナーです。
現在も太陽系の外へ向かって飛行中
1972年の今日(3月2日)、世界初の木星探査機「パイオニア10号」(Pioneer 10)がアメリカ合衆国フロリダ州のケープカナベラル空軍基地から打ち上げられました。
1958年からNASAが進めたパイオニア計画は、当初は月探査のための宇宙探査機の打ち上げを目標としていましたが、1960年代後半から太陽を周回する人工惑星によって惑星間空間(主に金星から火星の間)の探査を行いました。
さらに1970年代に入って打ち上げられた10号と後継機の11号は火星付近の小惑星帯を超え、木星や土星へと探査の範囲を広げました。パイオニアとは英語で「開拓者」という意味であり、未到の宇宙空間へと挑戦するプロジェクトにふさわしい名前と言えます。
パイオニア10号は木星の写真撮影や磁場の測定を行い、そののちには太陽系から離れ続け、地球から交信できる距離の限界を調べる実験を行いました。地上の通信環境の改善の結果、パイオニア10号は2003年まで地球との通信を続けることに成功し、その時点での距離は地球から海王星までの約2.7倍にあたる約123億kmでした。
パイオニア10号は現在も太陽系の外に向かって移動を続けており、約200万年後にはおうし座のアルデバランの近くまで到達すると考えられています。
パイオニア10号には、将来この探査機が宇宙人と遭遇する可能性を考え、特別な金属板が取りつけています。その表面には太陽と地球の位置と人間の男女が刻まれており、人類の存在を知らせる役割を担っているのです。この地球外生命体へのメッセージを搭載するというアイデアはカール・セーガンが発案したものだそうです。