デジタル時代の戦略"新しいエコシステム"を作りに行く Part Two

デジタル時代の戦略"新しいエコシステム"を作りに行く Part Two

今回の記事は、「SBI R3 Japan」が公開しているMediumから転載したものです。

より様々な内容の記事に興味のある方は、是非こちらにも訪れてみてください。

⇒ SBI R3 Japan公式 Medium


~ブロックチェーンで世界を変えるための第18歩~

Part Oneを読んでいない方はコチラから

個人的な意見です!

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あるべき業務→あるべき業界へ

このようにデジタル化が次のステージに進展する現代では、ブロックチェーンを活用することで、集中型サービスに乗らなくても、信頼できるデータを生成でき、それを共創により利活用して、新しいビジネスモデルを考えていきます。すると、視点は社内ではなく、業界レベルに広げて見渡していく必要があることに気が付きます。

多くの会社ではDXを目的としたクロスファンクショナルチームがありますが、社内を横串で視るだけでは足りません。DX時代では他社を含めたクロスインダストリー(業界横断)で、どのようなエコシステムを作ればお客様に選んで頂けるのか、この視点で考えるべきなのです。

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顧客体験を届ける

今後、新たに生み出されるブロックチェーンを基盤にしたエコシステムにおいて、お客様に選んで頂くためには、お客様起点での提供価値を共創により届けるしかありません。いわゆる”顧客体験”を届けるのです。

ただ、エンタープライズの世界で”顧客体験”と言ってもイメージがしにくいものです。何をすれば良いでしょうか。新しい形のデータ流通を前提に考えると、ポイントは3つほどあります。

①一つのアプリで完結

②ワンクリックで確認

③ネットワークを拡張

です。

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①一つアプリで完結

伝統的な自前主義では、「どれだけお客様を囲い込むか」が重要でした。例えば銀行が提供するキャッシュ・マネジメント・システムを多国籍企業のお客様に使って頂き、常に自行口座で決済してもらうという戦略です。

これはDX時代ではお客様起点とは言えません。なぜならお客様である事業会社は複数の銀行とお付き合いがあり、必要に応じて銀行を使い分けたい、これが真のニーズだったり(なかったり)します。

ただ、銀行同士は競業しており、当たり前ですが「自由に他行さんと取引ください」とはなりません。ここで”顧客体験”の出番です。


お客様の体験で考えると、グローバルで複数の銀行口座に置いてある資金データを一元的かつリアルタイムに参照できると嬉しいです。なぜなら資金効率を最大化できるからです。

銀行ごとにポータルを開いて、データをダウンロードして(ここはRPAで自動化するか!)、エクセル職人が統合ビューを作ってくれますが、発想はそうではないのです。

✔データは銀行の手元が正


お客様を中心に一つのアプリで完結して見たいのです。

これを実現するには、銀行に置いてあるデータではなく、お客様の手元にあるデータを正とする必要があります(という方法があります)。これはブロックチェーンの仕組みを導入することで可能となります。

なぜならブロックチェーンにより、データ自身に信頼を持たせられるため、データを「誰が持っているか」は問題ではなくなるからです。

✔データは事業会社の手元が正


お客様は共通アプリで、手元の資金データを正として見ます。後は自由に資金を移動させて、一番メリットのある銀行と決済すれば良いのです。

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②ワンクリックで確認

SDGsの文脈で近年求められるのが”トレーサビリティー”、そして”説明責任”です。何らかの監査の際、「この製品で使われている部品はどこで作られたものですか?」に即答できなければなりません。

Freezeせずに、”ワンクリック”で部材の出所や含まれる物質を見たいのです。このようなトレーサビリティーの可視化はこれまで困難でした。

なぜならそもそもデータが手元にないからです。もちろん社内の加工・移動の履歴であれば頑張れば取れますが、それ以前にサプライヤーが何をしたのか、さらにその先のサプライヤーの履歴までは持ち合わせていません。

また仮にそのようなデータがあったとしても「これって本当?」になってしまいます。

「うちは直接取引していません!」

ここで”顧客体験”の出番です。サプライチェーンの”アンカーコーポレート”である事業会社にとっては、サプライチェーン全体を通じたデータ連携が安全・確実に為されると嬉しいです。これはブロックチェーンの仕組みを使えば実現できます。

例えば、バイヤー・サプライヤー間の部品情報のやり取りを「互いに合意した上で」ブロックチェーンに記録します。記録されたデータは変更不可で残りますので、サプライヤーには嘘をつくインセンティブがありません。

嘘ついたら取引停止です。このようにブロックチェーンの基盤は不正へのインセンティブを減らしつつ、正しいデータだけが刻まれる方向で使われます。

このデータのやり取りはワークフローに沿って画面上のボタンをクリックするだけです。もちろん一つのアプリで完結します。

このアプリをクラウド上のノードにインストールすれば、サプライヤーは次の日からこのネットワークに参加できます。EDI導入プロジェクトを億単位、10年計画する必要はありません。

バイヤー・サプライヤーが共創すれば、このようなネットワークを構築することは技術的には全然できます。これでサプライチェーンを横断するデータ流通の仕組みができ、あとはアンカーコーポレートがワンクリックするだけで、信頼できるトレーサビリティーを確認することが出来ます。

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③ネットワークを拡張

さて、将来的には上記で説明したような複数の事業者間で使える共通アプリケーションが複数立ち上がってくるでしょう(もう立ち上がってきてます)。このアプリの運営者からすれば、お客様を囲い込みたいところですが、これも少しお客様目線ではありません。

お客様は自分が使いたいアプリケーションを使うだけです。「うちのアプリを使わないと取引できませんよ」とロックインされたくないのです。

これを実現するには、お客様の手元にあるデータを正として、異なるアプリケーション間でそのデータを利用できるようにする必要があります。

立体視できませんのでご注意。


これをブロックチェーンの世界では”インターオペラビリティー”と呼んでいます。例えばCorda同士のアプリであれば、このインターオペラビリティーを実現できますが、Cordaと異なるブロックチェーン間では技術的に困難です。

しかしお客様のニーズはここにあります。このポイントはブロックチェーンが業界を挙げてグローバルに取り組んでいる課題です。

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デジタル時代の戦略

企業の現場で起きている課題を解決するには、”顧客体験”を起点に考え、企業”群”が共創して提供価値を実現します。そして、その共創基盤としてデータを安全かつ確実に共有するためにブロックチェーンが必要となります。

ブロックチェーン上の共通アプリケーションを通じて、企業はより大きなエコシステムに貢献するプレイヤーとして、デジタルで革新的サービスを提供します。これまでリーチ出来なかったデータに基づいてサービス提供できる点が革新的になります。

提供されるデータはそれ自体が信頼できるため、小規模プレイヤーであっても、大企業と同等にサービス提供できます。つまりサービス品質だけで戦えます。

結果、インターネットが情報格差をなくしたように、ブロックチェーンは協働格差(取引のハードル)をなくしていきます。信用は企業そのものではなく、取引データ自体に移行していきます。

バイヤー・サプライヤー間の力関係も変えていくでしょう。ここでまたお客様目線が問われてきます。

信用がデータに移行するのであれば、お客様が選んで下さる理由は何でしょう。この先の見えないVUCA時代に、あるべき業界の姿や新しいエコシステムの形を見せてくれる、これがデジタル時代のリーダーシップであり、お客様が選ぶ理由ではないでしょうか。さあ、新しいエコシステムを作りに行きましょう!

網羅的ではありません!あしからず…

文 山田 宗俊 : https://twitter.com/muner34

(講演依頼もお待ちしております)

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(記事作成:SBI R3 Japan/Munetoshi Yamada)

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