2020.12.04
# 野球

日本シリーズ第3戦、工藤監督が絶好調のムーアを8回で代えた本当の理由

「短期決戦」だからこその采配だった

「短期決戦」の恐さを知っていた

今年の日本シリーズは前年に続いて福岡ソフトバンクが巨人に4連勝し、4年連続日本一に輝きました。第3戦ではソフトバンクのサウスポー、マット・ムーア投手が7回までエラーとフォアボールで3人のランナーを許しただけのノーヒットピッチングを演じていました。

しかし、ソフトバンクの工藤公康監督は8回、スパッとピッチャーを代えました。結局、ソフトバンクは4対0で完勝し、日本シリーズ4連覇に王手を賭けました。点差以上の実力差を感じた試合でもありました。

ソフトバンクの工藤公康監督(左)[Photo by gettyimages]
 

「ノーヒットノーランやるんじゃないかと思ったけど、さすが工藤(公康)だね。ひとつ勝たせてしまうと、どう転ぶかわからない。あれは短期決戦の恐ろしさを知っている男の采配だね」

開口一番、そう語ったのは元中日監督の森繁和さんです。2007年には落合博満監督の下、一軍バッテリーチーフコーチとしてチームの53年ぶりの日本一に貢献しました。工藤監督とは西武で7年間一緒にプレーしました。

あらためて感じる「岩瀬の13球」の凄さ

森さんと言えば忘れられないのが、北海道日本ハムと日本一を争った2007年の日本シリーズで見せた采配です。

3勝1敗と王手をかけて迎えた第5戦、8回までひとりの走者も許していなかった山井大介投手をスパッと代えたのです。ナゴヤドームが騒然となったのは言うまでもありません。コーチに采配という言葉は似つかわしくないかもしれませんが、落合監督は投手起用に関する一切を森さんに任せていました。

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