市場静観も早期解散思惑

菅政権誕生
(画像=PIXTA)

菅新内閣が16日に発足した。7年8カ月続いた安倍政権とその経済・金融政策のアベノミクスを継承する流れは、ひとまずマーケットに安心感をもたらした。閣僚人事は麻生副総理・財務相を筆頭に再任が目立ち、サプライズのない船出に株価への刺激も限られた。一方、早期の衆院解散も意識される。

新内閣は麻生副総理のほか茂木外相や萩生田文科相、小泉環境相、赤羽国交相ら8閣僚が再任された。官房長官に加藤前厚労相、行革担当大臣に河野前防衛相を据え、防衛相には安倍前首相の実弟の岸信夫氏を抜擢するなどの調整を行ったものの、全体的に代わり映えしない人選。主要派閥への配慮が透けて見える上、女性や若手も少なく、改革ムードが高まらない印象だ。

ただ、手堅い組閣は市場の好む長期政権の下地づくりともみてとれる。高い支持率や迷走気味の野党の状況を踏まえると解散は菅首相にとって早い方が有利。国民の信を得た上で、腰を据えて規制緩和や行政の縦割り撤廃といった政治課題に向き合う展開が浮かび上がる。

情勢が不透明な米国の大統領選挙が11月3日に控えているため、10月早々にも解散に踏み切る必要がある。また、10月17日には故中曽根元総理の葬儀が予定されており、日程的にも衆院選のタイミングは絞られる。11月1日投開票という線が一部で有力視されているようだ。

菅内閣を取り巻く物色テーマは、やはりDX(デジタルトランスフォーメーション)だろう。

創設を目指す「デジタル庁」ためのデジタル担当の閣僚には、平井元科学技術担当大臣が起用された。平井氏の出身の電通グループ(4324)やそのシステム子会社の電通国際情報サービス(=ISID、4812)には思惑が向かうかもしれない。

また、平井氏は自民党の自民党ネットメディア局長も経験している。自民党のネット広報を支援したPR会社のプラップジャパン(=プラップJ、2449・JQ)も浮上する可能性がある。ショーケース(3909)はプラップJと広報PRのDXクラウドで連携している。

「大阪」や「カジノ」といったキーワードも引き続き注目される。仮に衆院選が11月1日に行われれば、大阪市を再編する「大阪都構想」の是非を問う住民投票と重なる。相乗的に注目度が高まることで、値動きの軽いご当地株の杉村倉庫(9307・(2))や桜島埠頭(9353・(2))のほか、不動産のダイビル(8806)、京阪神ビルディング(8818)などにも追い風が予想される。

カジノに関しては、菅首相や萩生田文科相、茂木外相といった推進派が居並ぶほか、総裁選で菅首相を支持した最大派閥・細田派を率いる細田衆院議員は「カジノ議連(国際観光産業振興議員連盟)」の会長だ。このテーマでは日本金銭機械(6418)やオーイズミ(6428)、テックファームホールディングス(3625・JQ)などをマークしたい。

また、早期解散は選挙関連株の出番。イムラ封筒(3955・(2))やムサシ(7521・JQ)、富士ソフトサービスビューロ(=富士ソフSB、6188・(2))、りらいあコミュニケーションズ(4708)あたりも外せない局面だ。(9月17日株式新聞掲載記事)

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