プライバシー重視のメッセージサービスのテレグラムは6日のアップデートで、ブロックチェーンプロジェクトの「テレグラム・オープン・ネットワーク(TON)」のテストネットのサポートを終了すると発表した。テレグラムは2020年5月にTONの終了とTONの独自トークンである「グラム(Gram)」を放棄する方針を発表していた

残りのTONバリデータは8月1日に終了となる。発表の中でTONはネットワーク参加者に関連データの保存とテストプロセスを停止することを推奨している。

テストネットの終了まで1ヶ月ほどにも関わらず、ネットワーク参加者はテストネットが終了した後も実験を続けることが可能になっている、ユーザーは独自のテストネットバリデータをインストールできる。

2019年に始まったテストネット

テレグラムは2019年9月6日にTONテストネットを開始。

昨年10月31日に予定されていたグラムトークンの販売を見越して、グラムとiOSウォレットのα版をリリースした。しかし10月中旬に突如、米証券取引委員会がテレグラムの17億ドルのICOを違法と判断したことからTONの計画が完全に実現されなかった。

テレグラムは米規制当局と長期にわたり法廷闘争を繰り広げてきたが、今年5月、ついにTONの終了とグラムトークンの放棄を発表。裁判所との和解案に沿って12億ドルを投資家に返還することに合意した

テレグラムのパヴェル・ドゥーロフCEOによると、6月25日時点すでに12億ドル以上の返還が完了しているという

一方、テレグラムのTON開発者とユーザーの独立したグループ「フリーTONコミュニティ」が5月、TONを元にした独自ブロックチェーンをローンチする試みを行っている

フリーTONコミュニティは、ローンチの一環としてフリーTONトークンを配布している。TON Labsの最高事業開発責任者であるロン・ミラー氏によれば、フリーTONトークンの正式名称は「TONクリスタル」という。

フリーTONの開発者は、このフリーTONはテレグラムのTONからのフォークではないと述べている。

「私たちは本当に何もフォークしていない。利用可能なリポジトリから構築した。人々は『フォーク』を2つの異なる意味で使用していると思う。リポジトリのフォークとネットワークのフォークだ。リポジトリのフォークは、GitHubで機能する基本的なものだ。…ネットワークのフォークに関する質問の場合、フォークするネットワークは存在しない」

翻訳・編集 コインテレグラフジャパン