工夫の必要なし?『エール』はなぜ”無策”で再放送を続けるのか

朝ドラのおごりかもしれない

唯一の工夫は副音声

6月29日から朝ドラ『エール』(NHK)がコロナ禍による撮影中断を理由に再放送を行っている。

しかし、3月30日にスタートしたばかりのドラマであるにも関わらず、単純に「第1話から順に再放送していく」という方針にネット上には戸惑いの声が少なくない。

『エール』公式サイトより

唯一の工夫と言えば、出演者が週替わりで副音声を担当することくらい。第1週を山崎育三郎、第2週を松井玲奈、第3週を森山直太朗が担当するようだが、主演の窪田正孝でもヒロインを演じる二階堂ふみではないからか、物足りなさを感じてしまう。

「再放送に副音声を加える」という手法は『エール』だけではなく、むしろ民放の定番。しかも『M 愛すべき人がいて』(テレビ朝日系)では伊集院光、古市憲寿、塙宣之(ナイツ)がマニアックに語り、『ギルティ~この恋は罪ですか?~』(日本テレビ系)では新川優愛と町田啓太らメインキャストが裏話を披露していただけに、『エール』は後発の上に企画も人数も劣っている。

もっと言えば、民放で再放送されているドラマは、キャストのリモート出演を新たに撮ったり、未公開カットを入れたり、見やすいように再編集したりなどの工夫が満載。

 

わかりやすいところで言えば、『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)が“リモート恋ダンス”で盛り上げ、中高年層に人気の『警視庁・捜査一課長2020』(テレビ朝日系)ですら内藤剛志や金田明夫らベテラン俳優のミニリモートドラマを加えていた。

これらは「視聴率を獲得しなければいけない」「スポンサー収入を得なければいけない」という切実な事情によるものだが、結果的にその努力は実り、多くの視聴者を喜ばせている。

それと比べると『エール』の単純な再放送からは、「民放ほどの工夫をする必要はない」という意識が透けて見えるようだ。

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