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贈与税の負担が軽くなる「相続時精算課税制度」 仕組みと注意点を解説 

税金 相続・贈与
贈与税の負担が軽くなる「相続時精算課税制度」 仕組みと注意点を解説 

借金の免除や財産などを無償で相手に与えること贈与といいます。

1月1日~12月31日までの1年間に、贈与税の基礎控除である110万円を超える贈与を受けた場合、翌年の2月16日~3月15日までに、贈与税についての確定申告をする必要があります。

贈与税は、

・ 最高税率が55%と高い

・ 受けられる控除の種類は所得税よりも少ない

と、税負担が大きくなりやすいという特徴があり、特定の贈与に対して利用できる各種制度が整備されています。

今回はその中の制度の1つである「相続時精算課税制度」について、解説したいと思います。

一般贈与と特例贈与

贈与税の確定申告

贈与税の計算上、贈与には、

・ 一般贈与

・ 特例贈与

の2種類が存在しており、特例贈与のほうが贈与税の税負担が小さくなるように配慮されています。

特例贈与とは

特例贈与とは、祖父母や父母などの直系尊属から20歳以上の子や孫への贈与を指します。

直系尊属ですので、

・ 結婚相手の父母などの傍系尊属からの贈与

・ 直系尊属であっても未成年者への贈与

は特例贈与と見なされず、一般贈与として扱われます

特例贈与の例

特例贈与と一般贈与の税率は、110万円の基礎控除後の課税額が300万円までなら税負担は変わりませんが、300万円以上の金額では税負担に差が生じます

仮に、基礎控除後の課税額が3,000万円となる贈与を受けた場合は、

・ 一般贈与:1,250万円

・ 特例贈与:1,085万円

の贈与税がかかり、165万円もの違いが生じます

相続時精算課税制度の仕組みとデメリット

お金を渡す手

相続時精算課税制度は、特例贈与のうち、60歳以上の父母または祖父母からの贈与が対象です。

最初の贈与を受けた年の翌年2月1日~3月15日の確定申告期間に、本制度の届出書と確定申告書を提出することで利用できます。

本制度は、

・ 贈与税よりも税負担の低い相続税による課税を受けられる

・ 累計2,500万円の特別控除も利用できる

ため、贈与時の税負担を小さくできます

相続時精算課税制度の例

前出の3,000万円の贈与で相続時精算課税制度を選択した場合、

(3,000万円 – 特別控除2,500万円) × 税率20% = 贈与税額100万円

です。

この後、贈与を受けた方からの相続が発生した場合、この制度を利用して贈与した財産も相続財産として加えられ、相続税が算出されます。

事前に支払っていた贈与税の分、相続税が差し引かれ、贈与税のほうが多かった場合は還付を受けられます

デメリット

このように大きなメリットのある相続時精算課税制度ですが、1度選択すると110万円の基礎控除を差し引ける暦年課税制度に戻せないというデメリットがあります。

時間はかかるものの、基礎控除額以下の連年贈与のほうが、税負担はさらに小さくできます

特例制度を利用し負担を軽くしよう

贈与税は税率も高く、差し引ける控除も少ないことから税負担が大きくなりやすい性質があります。

贈与は結婚やマイホームの購入など、人生の転換点で行われることが多く、一時に多額の贈与をしてしまうと思わぬ税負担が生じ、贈与による恩恵を十分に受けられなくなってしまうかもしれません。

贈与は特例制度を利用するなどし、次世代への財産の引継ぎを円満に進められるように計画することをおすすめします。(執筆者:菊原 浩司)

《菊原 浩司》
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菊原 浩司

製造業の品質・コスト・納期管理業務を経験し、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)のPDCAサイクルを重視したコンサルタント業務を行っています。特に人生で最も高額な買い物である不動産と各種保険は人生の資金計画に大きな影響を与えます。資金計画やリスク管理の乱れは最終的に老後貧困・老後破たんとして表れます。独立系ファイナンシャルプランナーとして顧客利益を最優先し、資金計画改善のお手伝いをしていきます。 ≪保有資格≫2級ファイナンシャルプランニング技能士、管理業務主任者、第一種証券外務員、ビジネス法務リーダー、ビジネス会計検定2級  寄稿者にメッセージを送る

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