多発する「自粛警察」の全貌…背景に「正義の暴走」と「嫉妬の発露」

「非常時だから」で終わらせてはならない

今年の流行語候補のひとつは、まちがいなく「自粛警察」だろう。今月に入って、この言葉は急速に広まっている。

新聞・雑誌を横断検索できるサービスG-Searchで「自粛警察」を検索すると、4月は1件だが、5月は186件もヒットする(26日時点での数字。通信社の配信記事などで重複あり)。

あらためていうまでもなく、「自粛警察」とは、他人に自粛を強要する人々およびその振る舞いを指す。「自粛」は「自分から進んで行ないや態度をつつしむこと」(『日本国語大辞典』)なので強要することではないのだが、ネットスラングが応用されたのだろう。

ただ、やっていることは、投石や誹謗中傷などの嫌がらせや犯罪行為であるため、「警察」より「自警団」や「チンピラ」といったほうが適当かもしれない。

〔PHOTO〕iStock
 

「営業やめろ」「何考えてんだ馬鹿野郎!」

約1ヵ月前の拙稿では、日本全国で発生している「コロナ差別事件」を取り上げながら、「日本で『自粛要請』が機能するのは、『民度が高い』からではなく、このような『道徳自警団』や『自粛警察』の私的制裁が存在するからだ」と指摘した。

残念ながら、この私的制裁の動きは止んでいないようだ。緊急事態宣言の解除で忘却される恐れもあるので、あらためて振り返っておこう(カッコ内の月日は、いずれもメディア上の日付。なお掲載終了により、リンク先の記事が消えている場合もある)。

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