禁煙ブームが追い風に「葉巻で起業」したシングルファーザーの挑戦

娘とふたりでニカラグアに飛び込んだ

「贅沢な時間」を楽しむ

今、全国のバーでひそかな葉巻ブームが起きている。

高級品のイメージがある葉巻だが、すぐに吸い終わる紙巻きタバコとは違い、ゆったりとした贅沢な時間を過ごせると、これまでタバコになじみのなかった若者や女性といった層にも支持され始めた。

東京都内では、2020年4月からの「禁煙条例」の施行を控え禁煙の流れが強まっているが、シガーバーは規制の対象外となったことも大きい。

葉巻をより多くの人に親しんでもらおうと、中南米に飛び、オリジナルブランドの葉巻を現地生産、日本国内で販売する会社を立ち上げた若手起業家も登場するなど、業界のプレーヤーも着実に育ちつつある。

 

進む「禁煙化」の中で起業した39歳

東京都は2018年6月、「受動喫煙防止条例」、通称「禁煙条例」を受動喫煙の防止を目的として成立させた。全面施行は東京オリンピック直前、2020年4月からだ。

この条例では、学校や病院など公共施設での喫煙を全面的に禁止する一方、シガーバーやたばこの販売店など「一定の条件を満たした喫煙を主目的とする場所」での喫煙は認めている。シガーバーでの喫煙が許された背景には、「麻生太郎副総理が、行きつけのバーで葉巻を吸いたいから」(全国紙政治部記者)との憶測も飛んだ。

葉巻は紙巻きたばことは違い、1000円程度の手頃なものもあるが、高級品となると1本5000円を超えるなど、1本あたりの価格が高いのが特徴だ。

さらに、喫煙時間が長い。紙巻きたばこは通常、1本10分もあれば吸い終わるが、葉巻は1本でたいてい1時間程度楽しめる。「時間を気にせず、ゆっくり葉巻を吸える」こと自体もステータスとなってきた。

近年の禁煙ブームの中で、新宿で1962年から開業する『喫煙具専門店kagaya』では、ここ10年ほど、葉巻の売上が伸び続けているという。

店長の中西猛さんは最近の葉巻の売れゆきについて、こう話す。

「最近は30代の方によく購入していただいていますね。紙タバコが値上がりを続ける中で、どうせならおいしいものを吸おうということで、葉巻に切り替える方が多いようです。

会社の上司に連れて行かれたバーで初めて吸ってみて、良かったから自分でも吸ってみようという方もいらっしゃいます。全くタバコに縁が無かったという方も『紙巻きタバコとは別物』といって、チャレンジするケースが多いです」

こうしたひそかな葉巻ブームの中、オリジナル葉巻を自社工場で製造し日本国内で販売するベンチャー企業「ドラクリア」を立ち上げた日本人がいる。宮本豪太さん、39歳だ。

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