2019.02.24
# 財務省

歴史を紐解けばわかる、財務省が「中途入省を渋る」本当の理由

エリート意識集団の闇

採用率はわずか3%程度

財務省は2019年、国家公務員総合職の社会人採用を7年ぶりに再開した。今年4月には、民間金融機関出身の30代男性が「中途入省」することが内定している。

驚くべきなのは、社会人採用を実施したのは、大蔵省時代を含め過去に3人だけだという。民間ではあり得ないようなプロパー組織である。

昨年相次いだ財務官僚の不祥事以降、「外部からも人を採用するべきだ」という声が強まっている。そもそも、財務省はなぜここまでキャリア採用に積極的でなかったのか。

財務省の資料によれば、課長級職員は86人いる。その出身割合をみると、I種試験(いわゆるキャリア官僚)79人(91・9%)、II種試験2人(2・3%)、III種試験5人(5・8%)であり、中途採用の人間はいない。

なぜ国家公務員では試験採用が今日まで中心であるのかは、その歴史にある。

 

明治の官吏制度では、官吏は「天皇の官吏」として高い社会的威信を与えられていた。官吏は天皇が任命し、天皇からの距離に応じて身分的区分が設けられていたのである。官吏は天皇のため忠実無定量の勤務に服し、体面維持のための俸給や恩給を支給された。

高級官僚については、高等文官試験による採用が1894年から1948年まで実施されてきた。高等文官試験は1948年に廃止され、人事院が実施する国家公務員試験と法務省が実施する司法試験に引き継がれた。

現在、国家公務員試験は国家公務員採用総合職試験と呼び名が変わったが、依然として難関だ。採用率3%程度の狭き門で、採用者の出身大学は東大が過半を占めている。

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