超高級車の代名詞といえるイギリス生まれのロールスロイスは、1台数千万円を超える価格で、世界中のセレブやエグゼクティブから絶大な支持を集めています。マンションが買えるようなラグジュアリーな車は、他メーカーの追随を許さないほど、VIPに愛され続ける車なのです。しかし、その本質は、高級感やデザインを追い求めるのではなく、ロールスロイスの車に身を預けるVIPの命を守り、安全に走行することにブランドの精神が注ぎ込まれています。

自動車の安全性向上に貢献

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(写真=Hadrian /Shutterstock.com)

ロールスロイス社の車づくりの神髄に迫るべく、まずはその歴史から見ていきましょう。ブランドの誕生となったのは1906年、貴族の家庭に育ったチャールズ・ロールスとエンジニアとして成功を収めていたヘンリー・ロイスがタッグを組んだことから始まりました。ブランド名は、この2人の名前に由来していることが分かります。

20世紀初頭は、現在のように乗用車は一般に普及しておらず、その安全性と耐久性への追求がその後の普及への大きな課題となっていました。ロールスロイスが世に送り出したシルバーゴーストが1907年、ロンドンとグラスゴー間を27回、計1万4,371マイル(約2万3,000km)をトラブルなく走行し、世界で最も優れた車としてその名を世界にとどろかせました。喜びも束の間、1910年には創業者のチャールズ・ロールスが飛行機の実演飛行中に墜落し、この世を去ってしまいます。事故で創業者を失ったロールスロイス社にとっては、安全への探求は至上命題となって、ブランドの精神として受け継がれていくのです。

1950年は、ブランドにとって大きな転換期を迎えます。エリザベス女王が御料車をダイムラーからロールスロイスのファントムIVに切り替えたのです。英国王室御用達の車両となったロールスロイスは、ブランド価値の向上に加え、ロイヤルファミリーの安全を守る重大な責務も負い、さらなる安全性への追求を使命としていきました。60年代には、俳優やロック歌手などのセレブリティがこぞってロールスロイスの車を好み、その顧客リストにはジョン・レノンも名を連ねています。

伝統を守りながら、性能の向上を追求

世界的にSUV車の流行で、丸みを帯びたフォルムの車がトレンドとして広がる中、ロールスロイスの車両は、伝統的な直角的なラインを受け継ぎ、流行に左右されない王道を歩んでいます。エリザベス女王が購入したファントムの最新モデルを例に、その性能を紹介しましょう。

ファントムの特徴を表す言葉として、「アーキテクチャー・オブ・ラグジュアリー」と名付けられたオールアルミ製のスペースフレームが挙げられます。ロールスロイス社のエンジニアによって設計され、ファントムの最新モデルに導入され、将来的にはすべてのモデルに導入される予定です。新しいスペースフレームは、従来モデルと比較して約30%も剛性が向上し、より丈夫なボディが実現しました。強靭さの追求とともに、世界で最も静寂な車を目指して、鋳造アルミ製ジョイントなど遮音性の優れた素材を採用し、マジック・カーペット・ライド、魔法の絨毯のような乗り心地で、走行中の車内にいることを忘れてしまうくらい、リラックスし安心して車に身を預けることができるのです。

ロールスロイスといえば、フロントボディ先端のアイコン、フライング・レディが、VIP御用達車両のシンボルとしてみなされがちです。しかし実際には、アイコンも去ることながら、その強靭なボディが生み出す剛性により確保される安全性がイギリス王室を始め、世界のVIPからの支持を集めているのです。ロールスロイス社は、VIPが名前を連ねる顧客リストから、彼らの安全を守るため、飽くなき探求心で、その車両の設計に伝統を守りながら、改良を重ねています。VIPもまた、同社のそうした精神に絶対の信頼を寄せ、ロールスロイスを愛して止まないのです。

文・J PRIME編集部

(提供:JPRIME

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