NISAは、運用益が非課税になる税制優遇制度。NISA口座は、2018年3月末時点で約1,168万口座開設され、今も口座数は増え続けている(金融庁の調査)。どのようなメリットがあってNISAの利用者が増え続けているのだろうか。

NISAのメリット1  譲渡益、配当金・分配金が全額非課税

NISA,メリット,デメリット
(画像=sdecoret/Shutterstock.com)

NISA口座では、譲渡益、配当金や分配金が全額非課税だ。通常、株式や株式投資信託などの運用益には、原則として20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)が課税されるが、これがかからない。

たとえば株式を120万円分購入して180万円で売却した場合、譲渡益は60万だ。これに20.315%を乗じた121,890円が税額となり、手取りは478,110円になる。NISAでは、手取額はそのまま60万円。証券会社に支払う手数料などを考慮しても、NISA口座を利用することで約12万円の節税になる。

非課税になるのは、120万円までの投資によって得た利益だ。仮に株式を100万円分購入して180万円で売却した場合は、80万円の売却益が非課税となる。利益から120万円を控除した額が非課税対象となるわけではない。

NISA口座において株式の配当金などを非課税とするためには、口座開設時に「株式数比例配分方式」を選択する必要がある。株式数比例配分方式とは、証券会社で配当金などを受領する方法である。口座開設時に間違えないようにしたい。

NISAのメリット2 投資回数・購入数には制限なし

NISAの非課税限度額は年間の投資額が120万円までだが、投資回数には制限がないため、同じ年であれば、120万円を一括で投資することも、1万円ずつ120回に分けて投資することもできる。NISA口座内での購入商品の数にも制限はない。複数の商品を少額ずつ購入することにより、リスクも分散できる。

ただし、120万円の非課税枠はその年限りしか使えない。例えば100万円投資をし、残り20万円分の枠が余ったとしても、翌年に繰り越すことはできない。また、途中で売却をしても、その金額分の枠を再利用することはできない。

NISAのメリット3 金融機関によっては国外の株式も買える

NISA口座で取引できる金融商品は多種多様だ。国内・海外上場株式のほかに、株式投資信託、国内・海外ETF、ETN(上場投資証券)、国内・海外REITなどがある。積極的に利益を追求したい場合、為替リスクを取って海外の商品を購入することもできる。なお金融機関によって、NISA口座で購入できる商品の取扱いは異なる。

NISA口座を開設できるのは日本に居住する20歳以上の人で、1人1口座のみという制限がある。買いたい商品があるなら、それを取り扱っている金融機関でNISA口座を開設する必要がある(ただし口座を別の金融機関に移すことはできる)。

NISAのメリット4 確定申告しなくていい

税制上のメリットを適用する場合、確定申告が必要なのではないかと不安になる人もいるだろう。NISA口座では、非課税制度を利用して利益が出たとしても、確定申告は不要だ。

NISAのメリット5 非課税期間を過ぎても全額ロールオーバーできる

NISA口座における非課税期間は、最長5年である。たとえば、2014年中に購入した金融商品は、2018年末まで非課税で運用できる。非課税期間終了後は、以下の3つから選択をする。

・選択肢1 売却する
売却した場合、利益は全額非課税になるのは前述の通りだ。

・選択肢2 課税口座へ移管する
保有を続けたい場合、課税口座(特定口座・一般口座)に移管することも可能だが、売却時には利益に対して課税される。

・選択肢3 ロールオーバーする
運用を続けたい場合、翌年の非課税投資枠に移管すること(ロールオーバー)も可能だ。移管できる金額には、上限も下限もない。移管時に時価が120万円を超えている場合もそうでない場合も、そのすべてを翌年の非課税投資枠に移すことができる。ロールオーバーは、非課税期間を延長できる便利な仕組みだが、あらかじめ手続きをしないと課税口座に移管されるため注意が必要だ。

NISA口座を利用すると、年間上限額120万円を5年間毎年投資した場合、最大600万円投資できる。600万円に対する利益が非課税となり、全額が手取額となることが最大のメリットだ。とはいえ、無理のない金額から利用すべきだろう。

文・MONEY TIMES編集部/MONEY TIMES

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