自民党と日本人論という本があれば売れるような気がします。55年体制を含め、日本は基本的に自民党主導であることがゲンキの源のようなところがあります。自民党とは一般に言う中道右派的なポジションというより世論の動向に調整する日和見主義的なところがないとも限りません。

世論に照準を合わせることで主流であるポールポジションを維持し、自民党の政策の微調整機能こそが日本独特のそんたく政治であるのかもしれません。(諸外国では政党の主張は動かないものの、世論が動くことで政権交代が生じますが、日本の特徴が与党が世論にすり寄る政策を取るため、政権交代が起きにくいように感じます。)

今回の自民党総裁選挙の結果を見て安倍首相は何を思ったでしょうか?想定の圧勝には程遠く、石破氏に票は大きく流れました。石破氏の目標は議員票50、地方票150の200票でした。ふたを開けてみれば議員票73票、地方票181票の254票にも上ります。

圧勝できなかった安倍首相の反省点とは世論とのずれの再認識だろうと思います。その主たる部分は憲法改正に対する議論かもしれません。思った以上に国民の抵抗にあったわけで本気で憲法改正を行うには何らかの戦略の見直しの必要性を認識されていると思います。

もちろん、安倍首相にとって憲法改正は悲願であるし、本人にとって最後の3年のこの任期中に政治生命の全てを賭けて強行しようと思えばできなくはないのですが、自民党という枠組みの中で世論との照準合わせから外れることで後々のしっぺ返しを考えると案外、その戦略について慎重論も出てきそうです。

以前から申し上げているように日本は欧米と違い、資本家と労働者の関係という搾取の社会構造になっていないため、二大政党構造になりにくい体質があると考えています。つまり、政治構造そのものが自民党と野党との関係であり、野党は与党の進める政策について行き過ぎないように修正や変更を求めて行くという役割分担であります。

総選挙の際、野党側は与党の批判ばかりしていると評論されていますが、もともと野党が与党になる前提がなく、万年野党で与党の文句を言うことがその主たる業務であって、この構造は基本的に変わってはいけないのだということであります。大きな間違いを犯したのが民主党政権時代で国民も自民党も学び、当面は政権交代が起きる可能性は日本の国民性からして起こりえないと考えています。

今回の石破氏の想定以上の健闘は自民党内の野党として安倍政権への軌道修正を迫るものであり、政権中枢はこれを真摯に受け止めて対策を練ることになりそうです。

では何を修正しなくていけないのか、ですが、世論の声を推察するに「安倍首相の一強体制への不満」とみています。日本はヒーローを作らない国であり、極端なリーダーシップを望んでいません。(これは私の意見というより日本人論的にそうなっています。)つまり、長期政権への過度の期待が逆に世論から冷たく見られる逆効果が生じているように感じます。

よって安倍首相としては自分へのベクトルを閣僚に分散させることが使命となりそうです。訪米後の内閣改造でそのベクトルが期待通りに分散するのか、ここがキーポイントではないでしょうか?もちろん、見方によっては次の総裁という目線が着目されることになりますが、本命を作らず実力勝負し、切磋琢磨してもらう体制こそが世論の期待であり、強い自民党体制になるのではないかと考えています。

では今日はこのぐらいで。

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また明日お会いしましょう。