ベンチャー起業家出身議員の目に映った「永田町の景色」

国会議員の出自を調べてみると……

2016年夏の参院選で自民党公認候補として立候補し(千葉県選挙区)、初当選した42歳の元榮太一郎は「異色の政治家」だ。

弁護士として大手法律事務所で勤務後、起業。インターネット上で無料で法律相談ができたり、弁護士を検索できるサービス「弁護士ドットコム」を立ち上げ、2014年12月に弁護士として初めて株式上場を果たした(東証マザーズ市場)。

弁護士ドットコムは、いまや国内弁護士の3人に1人以上に相当する15,000人を超える弁護士が登録する大規模サイトに成長し、今年5月には月間訪問者数も1320万人を記録した。現在も会長として、経営の舵取りをする一方、次なる挑戦の舞台として選んだのは政治の世界だった。

2018年7月をもって「政治家としての丸2年」を終えた今、ベンチャー起業家の目に永田町の景色はどう映ったのだろうか。この2年を振り返ってもらった。

 

ベンチャー起業家から政治家へ

政治家としてようやく丸2年。まだまだ勉強中で、偉そうなことは言えません。それでも、政治の世界には「ここが変わったらいいな」と思うことが少なからずあります。ベンチャー経営者としての視点や民間出身の視点から、皆さんにお話できればとおもっています。

政治の世界に入って最初に驚いたことは、「人員構成の偏り」です。

ある程度は予想していたのですが、やはり政治の世界を志す方は、政治家の二世三世や近親者、官僚出身、議員秘書、地方議員・首長、団体関係者……といった、生まれた環境や仕事環境に政治の世界と接点があった、という場合がほとんどです。弁護士出身の国会議員はある程度いますが、ベンチャー企業の経営者出身の国会議員は数える方しかいません。

そこで、国会議員全体の「出身」を調べてみました。

その一覧がこれです。

※国会議員要覧掲載情報をもとに作成

感覚的には分かっていても、実際の数字にすると、なるほどといった感じでした。いわゆる「世襲」や官僚、首長・地方議員、議員秘書といった、政治との接点がもともと強い方々が58%を占めています。これらを経ていない議員、つまり純粋な民間出身者というのは約4割。人材が偏っているのです。

また、主要国と比較した表が下記の通りとなりますが、「世襲」についてはやはり日本は群を抜いて割合が高いということがわかります。

国会図書館資料より
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念のため申し添えますと、私は世襲や官僚や議員秘書出身者などを批判するつもりはありません。世襲議員や議員秘書出身議員がいるからこそ、永田町や自民党のよき伝統が守られている部分が大いにありますし、官僚出身の方はやはり志が高く、政策に通じた、非常に優秀な方が多い。

ただ、着目すべき点は「比率」です。世の中を見渡せば、一般企業に勤めている方がほとんどです。企業経営者は400万人以上もいます。

それなのに、一般企業に勤めてから国政に立つという人はほとんどいません。また、上場企業の創業者というのは、把握している限り私を含めてたったの3人しかいません。

これで本当に民間感覚を政治に反映させられるのか、ニッポン株式会社の経営(運営)ができるのか、イノベーションを起こすことができるのか……今一度、考え直してみてもよいのではないでしょうか。

政治に民意を反映させるには、民間の企業経営者やベンチャー起業家が政治の世界に興味を持ち、「自分も国会議員になりたい」と思える国になるべきだと思います。

では、どうすれば民間経営者出身の議員を増やすことができるのか。私なりのアイデアを述べたいと思います。

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