違和感だらけ…日本郵政Gへの「消費税軽減案」ここがヘン
「半官半民」で失敗が続き…「すったもんだ」がいまだに続く
6月1日、日本郵政グループの消費税軽減を柱とする関連法案が参議院で可決した。
民間金融機関が規模を急速に縮小するなか、一部の「郵政族」議員は、郵便局を中心としたサービスを地域活性化の「最後の砦」としている。もちろんこれは半分が建て前で、実際には自民党が地方票集めにいち早く動いただけにすぎない。
民営化が進められたとはいえ、依然として「半官半民」の色が濃い郵政グループ。最大の「赤字事業」でもある郵便局で、消費税軽減のような優遇措置を取れば、国家の負担は増えるばかりだろう。実際のところ、自民党はどう思っているのか。
改めて郵政民営化の経緯を整理しておこう。
小泉政権時代の'05年に民営化はスタートしたが、'09年に民主党と国民新党・社民党へ政権交代が起こる。民営化に否定的だった三党の判断によって、郵政事業は事実上「半官半民」となった。結果、民間としてのガバナンスをほとんど持たない組織が誕生した。
そうした法制度の変更は、企業のキモである人事にも影響した。民間から社長へ登用されたのは三井住友銀行元頭取の西川善文氏であったが、民主党政権になってから西川氏は追い出され、彼が引き連れてきた多くの優秀な人材も追放された。
西川氏の後任になったのは、元大蔵事務次官の斎藤次郎氏である。大蔵省キャリアが郵政グループを統べることになり、結果として完全な民間企業となるチャンスを逸したのだ。
その後、再び政権交代が起こり自民党・公明党が与党となったが、小泉政権のときのように積極的に民営化を進める人間はいない。強いてそのような動きがあったとすれば、菅義偉官房長官が、斎藤氏の後任として東芝の西室泰三氏をトップに据えたときだ。