2024.05.02

「日本はむしろロシアや中国、イスラム圏の国と似ている」...同性婚の法制化が「日本で進まない理由」と「現代レイシズム」の正体

4月21日、性的マイノリティへの偏見や差別のない社会を目指すイベント「東京レインボープライド2024」が東京・渋谷区で開催された。パレードにはLGBTQ当事者や支援者、各国の駐日大使ら約1万5000人が参加した。

イベントに参加した米国のエマニュエル駐日大使は「それほど遠くない未来に、日本では同性婚や異性婚ではなく『結婚』というものができるでしょう」と結束を呼びかけた。

同性婚は2001年に世界で初めてオランダが法的に認めた。2024年4月現在、37の国・地域で同性婚が法制化されている。2019年にはアジアで初めて台湾で、2023年にはネパールでも同性婚が認められた。

直近では2024年2月、キリスト教正教徒が多数を占めるギリシャでも同性婚を認める法案が可決されている。

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札幌高裁での「画期的な判決」

このような世界各国の動きに反して、同性婚の法制化が遅れていた日本だが、3月14日の札幌高裁判決が一つの試金石ともなりうるとされている。

「『戸籍上、同性の2人の結婚を認めない民法や戸籍法は憲法違反だと訴えた裁判』において、札幌高裁は「憲法24条1項に違反する」との判断を初めて行ないました。憲法24条1項とは『婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない』という条文です。

この『両性』とは男性と女性の両方の性を指すというのが一般的な解釈で、これまで24条1項は『異性婚』を対象としていました。それが今回の判決では『憲法上同姓間の婚姻も異性間と同程度に保障している』と判断したのです」(全国紙司法担当記者)

 

青山学院大学法学部教授の谷口洋幸氏(国際人権法、ジェンダー法)は「これは画期的な判決でした」と語る。

「憲法改正が同性婚を認める不可欠の条件でないことは、これまでの地裁判決でも一致した判断でした。ただし今回の判決は、『憲法が同性婚の実現を求めている』と言い切りました。学者の間では意見が分かれていた部分で、今後の議論に一石を投じた判決を評価できます」(谷口氏)

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