2011年3月11日、戦後最大の自然災害となる東日本大震災が発生した。あれから13年、令和6年能登半島地震をはじめ何度も震災が起きている。
しかしながら、これから起きうる大きな自然災害(首都直下地震、南海トラフ巨大地震、富士山噴火)について本当の意味で防災意識を持っている人はどれほどいるだろうか。
もはや誰もが大地震から逃れられない時代、10刷ベストセラーの話題書『首都防衛』では、知らなかったでは絶対にすまされない「最悪の被害想定」が描かれ、また、防災に必要なデータ・対策が1冊にまとまっている。
(※本記事は宮地美陽子『首都防衛』から抜粋・編集したものです)
首都直下地震は何が怖いのか
1923年に発生した関東大震災は、我が国の災害対策の出発点といわれる。M7.9と推定される大地震は、東京や千葉、神奈川、埼玉、山梨で震度6を観測し、死者・行方不明者は約10万5000人に達した。
土曜日の午前11時58分に起きた災禍は、昼食時間と重なって火災による被害も拡大した。東京では竜巻状の火災旋風が生じ、全壊・全焼・流出の住家は約29万棟に上っている。関東南部の山地や丘陵地などには土石流による土砂災害が多発し、三浦半島から伊豆半島東岸に津波が襲来したと伝えられる。
9月1日の「防災の日」の起源となった100年前の大震災は、相模トラフを震源とする海溝型地震で、国家予算が14億円だった時代に被害総額は55億円に達している。阪神・淡路大震災や東日本大震災の被害総額が国家予算比で2割程度だったことを見ても、その被害の大きさがわかるだろう。
では、戦後の焼失と混乱を経て驚異の高成長を遂げた日本の首都が、再び大地震に襲われたらどうなるのか。被害想定の詳細については最終ページをご覧いただきたいが、それは関東大震災とも異なる、成熟都市・東京ならではのダメージも生じると考えられる。