2011年3月11日、戦後最大の自然災害となる東日本大震災が発生した。あれから13年、令和6年能登半島地震をはじめ何度も震災が起きている。
しかしながら、これから起きうる大きな自然災害(首都直下地震、南海トラフ巨大地震、富士山噴火)について本当の意味で防災意識を持っている人はどれほどいるだろうか。
もはや誰もが大地震から逃れられない時代、10刷ベストセラーの話題書『首都防衛』では、知らなかったでは絶対にすまされない「最悪の被害想定」が描かれ、また、防災に必要なデータ・対策が1冊にまとまっている。
(※本記事は宮地美陽子『首都防衛』から抜粋・編集したものです)
地震で倒壊した住宅の「問題点」
日本で初めて震度7を観測した「内陸直下の地震」の阪神・淡路大震災では、地震を直接の原因として死亡した約5500人のうち8割は、倒壊した住宅の下敷きとなった窒息・圧死だった。
「内陸直下の地震」の震源に近いエリアでは、急に地面に対して垂直方向に生じる初期微動(P波)の「縦揺れ」とほぼ同時に、主要動(S波)の「横揺れ」が起きる。もともと建物は横からの力に弱く、建物倒壊を引き起こしやすい。
では、地震で倒壊した住宅はどこに問題があったのか。
木造住宅の耐震化について研究を続けてきた東京大学の坂本功名誉教授は「答えは、壁だ」と指摘し、地震の揺れには「耐力壁」で対抗すべきだという。建物を横から押すように働く水平の力に対して壊れなければ、基本的に地震でも崩れることはないというわけだ。そのためには壁をバランスよく配置し、「箱」のようなものをつくるのが正攻法の考え方とする。