2024.04.26

女性社員の「枕営業」を噂する男性たち…NYゴールドマンサックス元社員が暴露する「息の詰まりそうな日々」

世界トップクラスの地位と報酬が約束されたゴールドマン・サックス。だがその実態は、金と女性に対するおそるべき強欲、嫉妬にまみれた職場だった――。

同社の元マネージング・ディレクター(上位8%の幹部職)の女性が1998~2016年の在職期間に目撃した、ミソジニー(女性嫌悪)と人種差別にあふれる、堕ちた企業風土を明らかにする衝撃の暴露本『ゴールドマン・サックスに洗脳された私』から、職場にはびこる女性差別のリアルな姿をお届けする。

巨額の退職金を捨てて、秘密保持契約書(NDA)へのサインを拒否。同社の内幕を告発する道を選んだ彼女の回顧録を読み進めるうちに明らかになる、金融資本主義の欺瞞と、その背後にある差別的な思考とは?

 

不自然に席を外す職場の先輩

同じチームにメリッサという1年先輩のアナリストがいるのだが、私は彼女がたびたび席をはずすことに気づいた。ふたりで同じ電話を使っているので、彼女への伝言をたびたび私が預かることになった。顧客とランチミーティングのときもあるが、どうやら毎日、小一時間は席をはずしているようなのだ。

「メリッサは具合でも悪いんでしょうか」新たな伝言メモをメリッサの机の上に置きながら、近くの席のジェイクというトレーダーに向かって言った。「しばらく席に戻ってきてないんです。伝言メモはこれで10枚目」

「彼女なら大丈夫だ」ジェイクが肩をすくめながら言った。「レンダーズ・トラスト社のジョージと、マリオットでヤッてるんだよ。じゃなきゃ、あんなに仕事をもらえるわけないだろ」

出世のため、学位よりも大切なもの

メリッサが胸元の大きく開いたレースの服を着ているのには気づいていた。でも、胸の谷間を見せびらかすのと、誰かと寝るのとはまったく別の話だ。しかも、ジョージは既婚者だったはずだ。私は顔が真っ赤になり、同僚にからかわれた。

「これからはシスター・ジェイミーって呼んだほうがいいみたいだな」ジェリーがふざけて言った。

「潔癖な修道女さまだ」困っている私を、ほかのトレーダーたちも一緒になって、からかいはじめた。

「ウォール街がどうやって回ってるのか、知らないのか?」ヴィトが私の耳元で言った。「ゴールドマンで出世するのに必要なのは、アイビーリーグの学位よりもセックスだってことさ」彼らはワッと笑い声をあげ、互いにハイタッチをした。案の定、そのあとすぐ、メリッサは顧客とだけでなく、うちの部署のパートナー、マイクとも寝ていることがわかった。

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