2024.04.26

Jリーグ首位をぶっちぎる町田・黒田監督の「高校サッカー流」は是か非か?

新進気鋭のチーム・FC町田ゼルビア

4月21日のJ1リーグ第9節で、FC町田ゼルビア(東京都町田市)が同じ東京都を本拠地とするFC東京を破って、明け渡したばかりの首位の座を1週間で奪還することに成功した。                                    町田は今シーズンからJ1リーグに昇格したばかりのクラブだ。           これまでにも昇格1年目にJ1リーグで優勝した例はある。2011年の柏レイソルと2014年のガンバ大阪である。

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だが、柏もG大阪もアマチュア時代からの名門で、たまたまJ2に陥落した後1年でJ1に復帰してその年に優勝した。だが、町田は昨年のJ2リーグで優勝して初めて昇格を果たしたばかりの新進気鋭のチームだ。                      3月の大相撲春場所では東前頭17枚目の尊富士が110年ぶりという「新入幕初優勝」を達成したが、もし町田が優勝を遂げたら、それに匹敵する快挙ということになる。

町田が注目を集めるもう1つの理由は、昨シーズンからこのチームを率いて快進撃を実現させた黒田剛監督の存在だ。黒田監督は一昨年まで高校サッカーの強豪、青森山田高校の監督を務めていた人物なのだ。

黒田は1995年に、本格的に強化を始めたばかりの青森山田高校サッカー部監督に就任。当時25歳の無名の指導者だった黒田は、たちまち同校を強豪校に育て上げ、2016年度にはついに全国高校サッカー選手権大会で初優勝。Jリーグクラブのユースチームも参加するプレミアリーグとの二冠を達成した。黒田はその後も、さらに全国選手権で2回の優勝を経験。青森山田は、黒田が離任した後の昨年度の選手権でも優勝を飾っている。                                   また、黒田は青森山田時代に、日本代表としてロシアW杯で活躍した柴崎岳(現・鹿島アントラーズ)や、現在U-23日本代表の中心としてパリ五輪予選を戦っている松木玖生(現・FC東京)を育てた。どちらも、天才的なMFである。

その黒田が、28年間務めた同校監督を辞してJ2リーグの町田の監督に就任したのが、昨シーズンのこと。
高校サッカーで名将の名を轟かせた監督が、プロチームでの指揮に挑戦して成功した例は、これまでほとんどなかった。そのため、黒田に対しても懐疑的な目が注がれたが、蓋を開けてみると、黒田が率いる町田はJ2リーグで首位を独走して、J2優勝と初のJ1昇格を成し遂げたのだ。

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