2024.04.24
# 人工知能

会話形式でさまざまな情報を提供する「チャットボット」…千葉県柏市の「悩み相談AIチャットシステム」が成功した理由

普及を続けるチャットボット

AI技術の進化により、会話形式でさまざまな情報を提供してくれるアプリケーション、いわゆる「チャットボット」がさまざまな企業や組織のウェブサイト上で見られるようになった。たとえば最近も、千葉県柏市が「悩み相談AIチャットシステム」を開始したというニュースがあった。これは昨年行われた実証実験を経て、今年4月1日から正式リリースされたもので、柏市の発表によれば「自治体では全国初の取り組み」とのこと。実際にアクセスしてみると(「柏市地域生活支援センター(福祉の総合相談窓口)」のホームページから利用可能)、「あかり」さんという女性に擬人化されたチャットボットと会話することができた。

柏市がリリースした「悩み相談AIチャットシステム」と筆者が会話してみた結果

「悩み相談」をする場所ということで、老後の生活が不安だと相談してみたところ、自然なやり取りで会話を続けることができた。会話内容は公認心理師が監修しているとのことで、筆者が試してみた限り、おかしな反応が返って来る様子は見られなかった。実際に昨年行われた実証実験では、平均満足度が82.5%、リピート率は31%に達したと発表されている。質問の内訳も「健康・メンタル」が20.8%、「恋愛・性」が20.3%、「学校・いじめ」が15.1%などと幅広く、悩みの相談相手という役割を十分に果たしていると言えるだろう。

 

こうしたチャットボットを導入する主な目的として、顧客・住民対応の効率化(24時間365日対応でき、顧客からの問い合わせに迅速に対応することも可能になる)、業務の効率化(定型的な業務を自動化することで、従業員や職員の負担を軽減したり、コストを削減したりすることが可能になる)、顧客満足度の向上(顧客や住民からの問い合わせに迅速かつ丁寧に回答することで、満足度を向上させることができる)などが挙げられる。柏市の例では、まさにこの最後の目的が達成されているわけだ。

ただ柏市の例が全国どこでも、また他の業界や分野でも再現できるかというと、そうとも限らないようだ。ドレスデン工科大学の研究者らが、気になる研究結果を発表している。人間らしく感じられないチャットボットは、会話相手の人間を満足させるどころか、逆に怒らせてしまう可能性があるというのだ。

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