2024.04.20

「呪術廻戦」の原点はこんなところにもあった!?…人間が「誰かを呪う」という行為をやめられない「本質的な理由」

「人類学」という言葉を聞いて、どんなイメージを思い浮かべるだろう。聞いたことはあるけれど何をやっているのかわからない、という人も多いのではないだろうか。『はじめての人類学』では、この学問が生まれて100年の歴史を一掴みにできる「人類学のツボ」を紹介している。
※本記事は奥野克巳『はじめての人類学』から抜粋・編集したものです。

『地獄の黙示録』、ふたたび

人類学の発展に多大な影響を与えたひとりに、フレイザーという人物がいます。彼の著作として有名なものは、なんといっても『金枝篇』です。内容は知らなくても、この本のタイトルだけは聞いたことがある、という人は多いのではないでしょうか。『金枝篇』は1890年から1936年にかけて公刊された、十三巻からなる労大作です。

『金枝篇』は、古代ローマのネミ湖のほとりにある神聖な森の祭司であり王である人物が、前任者を殺すことによってその地位を継承するという伝説を解明することから始まります。その後、この「王殺し」の解釈を拡大し発展させて、世界各地の厖大な資料を渉猟していったのです。

(PHOTO)gettyimages

みなさんは1979年に公開された、フランシス・フォード・コッポラ監督の『地獄の黙示録』という映画を観たことがあるでしょうか。ベトナム戦争時に米軍の指揮下を離れ、カンボジアに王国を築いたカーツ大佐の殺害の命を受けて、ウィラード大尉が洞窟に住むカーツを訪ねます。そのシーンで、何気なく『金枝篇』が置かれているのです。その映画では、王を殺害したウィラードを国民が「新たな王」として迎える演出がなされます。『地獄の黙示録』のひとつのテーマは「王殺し」だからです。

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