2024.04.20
# ヘルスケア

仕事で述べる意見の99%は不要だった…意見を求められても「わからない」と返してもいい3つの理由

誰かから意見を求められた時に脊髄反射的に答えてしまっていないでしょうか。性急に意見を述べることは望ましいとは言えません。

古代の伝統的なモデルから最新の心理学研究の結果、ストア派をはじめとする哲学や、バリュー投資家の思考まで、膨大な研究結果をひもときながら、「よい人生」を送るための52の思考法をまとめた『Think clearly』(サンマーク出版)より一部抜粋してお届けします。

脳はどんな質問にも「答え」を見つけ出そうとする

最低賃金は引き上げられるべきだろうか? 遺伝子組み換え食品の販売に問題はないだろうか? 人類が地球温暖化を引き起こしたという説は真実なのか、それとも環境保護主義の政治家の妄想なのか? アメリカとメキシコのあいだに壁をつくるべきか? 日本は難民を受け入れるべきか?

きっとあなたは、これらすべての問いに、すぐに答えることができるだろう。普段から政治に関心のある人なら、考え込む必要はないはずだ。

だが実際には、これらはどれも、即答するには複雑すぎる質問ばかりだ。どの質問に対しても、少なくとも1時間は十分に吟味する必要があるだろう。それより短い時間で論理的な答えを見つけ出すのはほとんど不可能と言っていい。

私たちの脳は、意見を噴き出す火山のようなもの。ひっきりなしに何かに対する意見や個人的な見解を発信している。訊かれた質問が自分に関連があろうがなかろうが、複雑だろうが単純だろうが、答えられる質問だろうが答えられない質問だろうが、そんなことに関係なく、脳は答えを紙ふぶきのようにまき散らす。

だが、答えを発信する際、私たちが犯しがちな間違いが3つある。

ひとつ目は、自分が興味のないテーマにも意見を述べてしまうことだ。

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ごく最近、私は友人との議論の最中に、自分が、ドーピング問題に激しい怒りを感じているかのような意見を口にしていることに気づいた。世界のトップクラスのスポーツに、私はまったく興味がないというのに。

私たちの意見の火山は、手近にあった新聞を開いただけでも動きはじめる。だが、興味のないことに対する意見にはふたをしておこう。私も先日の議論の際にはそうすべきだったのだ。

 

ふたつ目の間違いは、答えられない質問にまで発言してしまうことだ。

次に株式市場が崩壊するのはいつか? 宇宙はいくつも存在するか? 次の夏の天気はどうなるか? 誰もそんなことには答えられない。専門家でも無理だ。答えられない質問にまで、意見を噴火させてしまわないよう注意しよう。

三つ目は、冒頭で挙げたような複雑な質問に、性急な答えを返してしまいがちなことだ。3つの間違いの中でも、もっとも深刻なのがこれである。

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